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電気メッキ

電気めっきとは、電流を使って金属や樹脂などの素材に金属の薄い皮膜を形成する技術です。めっき液中の金属イオンを電気化学的に還元して金属皮膜を生成する表面処理方法で、湿式めっきの一種です。

金属加工 表面処理

電気メッキとは

電気メッキとは、電流を利用して金属や樹脂などの素材に金属の薄い皮膜を形成する表面処理技術です。


メッキ液に含まれる金属イオンを電気化学的に還元し、金属の皮膜を生成します。この技術は、耐食性の向上、外観の美化、導電性の付与など、多様な目的で使用され、湿式メッキの一種として広く知られています。


ここでは、電気メッキの仕組みや種類、適用可能な素材、注意点について詳しく解説します。



電気メッキの基本的な仕組み

電気メッキは、電解槽と呼ばれる容器にメッキ液(電解液)を満たし、その中で電極と素材(ワーク)を接続して電流を流すことで、金属の皮膜を形成します。


  • 陽極: メッキしたい金属(例えばニッケルやクロム)が接続されます。この陽極から溶け出した金属イオンが電解液中に供給されます。

  • 陰極: メッキを行う対象物(素材)を接続します。金属イオンが還元されて素材表面に付着します。

このプロセスでは、電流密度や電解液の濃度、温度などの条件を適切に制御することで、均一で高品質な金属皮膜が得られます。



主な加工内容

  1. 装飾メッキ: 外観を向上させるためのメッキ(例: クロムメッキ、金メッキ)。

  2. 耐食メッキ: 耐腐食性を高めるためのメッキ(例: 亜鉛メッキ、ニッケルメッキ)。

  3. 機能性メッキ: 導電性や耐摩耗性を付与するためのメッキ(例: 銀メッキ、硬質クロムメッキ)。


電気メッキの種類

電気メッキは、使用する金属やプロセスに応じていくつかの種類があります。


1. ニッケルメッキ

耐腐食性や光沢を目的とした一般的なメッキです。電子部品や装飾品に使用されます。


2. クロムメッキ

耐摩耗性や美観を目的とし、自動車部品や工具で多用されます。


3. 銀メッキ

高い導電性を持ち、電子部品や電気接点に適しています。


4. 亜鉛メッキ

防錆効果を目的とし、建築用資材や機械部品に使用されます。


5. 金メッキ

装飾や電子部品の接点部に使用され、腐食に強い特性を持ちます。


電気メッキに適した金属

以下の金属は、電気メッキの対象として適しています。


  • 鉄および鋼: 防錆や装飾の目的で広く利用。

  • アルミニウム: 下地処理を施すことでメッキ可能。

  • 銅および銅合金: 電気伝導性の向上や防錆目的で使用。

  • ステンレス鋼: 下地処理を施し、耐腐食性や美観を向上。


電気メッキで対応が難しい金属

以下の金属は、電気メッキが難しい場合があります。

  • 高純度チタン: 非常に安定した酸化皮膜が形成されやすいため、特殊な処理が必要。

  • マグネシウム: 活性が高く、通常の電気メッキでは付着が困難。

  • 鉛および鉛合金: メッキ皮膜の密着性が低くなることがある。


電気メッキの活用例

電気メッキは、以下の分野で幅広く活用されています。

  • 自動車産業: 外装部品やエンジン部品の耐腐食性向上。

  • 電子機器: 接点部品やプリント基板の導電性向上。

  • 医療分野: 器具やインプラントの耐腐食性と生体適合性向上。

  • 建築資材: 屋外用の金属製品の耐久性向上。


電気メッキのメリット

  1. 耐腐食性の向上: 製品の寿命を延ばす。

  2. 多様な仕上げ: 光沢やマット仕上げなど、多彩な表面仕上げが可能。

  3. 機能性の付与: 導電性や耐摩耗性などの機能を追加。

  4. 装飾性の向上: 美しい外観を提供。


電気メッキの注意点

  1. 環境負荷: 廃液処理や排水管理が必要。

  2. 前処理の重要性: 素材表面の清浄化が仕上がりに影響。

  3. 膜厚管理: 均一な膜厚を維持するための制御が必要。

  4. コスト: 高価な材料やエネルギーが必要な場合がある。


まとめ

電気メッキは、製品の耐久性や機能性、装飾性を向上させるために欠かせない技術です。その仕組みや種類、適用範囲を正しく理解することで、多様な産業分野での効率的な活用が可能です。


この技術を活用して、製品の品質と価値をさらに高めることが期待されます。

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