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特殊鋼

特殊鋼は、特定の機能や性能を持つ合金鋼の総称です。耐摩耗鋼や耐熱鋼、ばね鋼など用途に応じた多様な種類が存在します。

金属 素材

特殊鋼の種類(JIS規格および代表的なもの)

特殊鋼は、特定の機能や性能を持つ合金鋼の総称です。耐摩耗鋼、耐熱鋼、ばね鋼など、用途に応じた多様な種類が存在し、建築、機械、インフラ、工具といった幅広い分野で活用されています。本記事では、JIS規格に基づいた特殊鋼の種類と用途を詳しく解説します。


1. 特殊鋼の種類


耐摩耗鋼:

耐摩耗鋼は、高い硬度と耐摩耗性を備えた鋼材で、摩耗が激しい環境での使用に適しています。

  • 特性: 高硬度、耐摩耗性。

  • 用途: 建設機械部品、ショベルバケット、スクレーパー。


耐熱鋼:

耐熱鋼は、高温環境での強度と耐酸化性を持つ鋼材で、特に産業炉やエネルギー分野で使用されます。

  • 特性: 高温強度、耐酸化性。

  • 用途: 産業炉部品、ボイラー、ガスタービン。


ばね鋼(JIS G4801):

ばね鋼は、高い弾性限度と復元力を持つ鋼材で、ばねや弾性が求められる部品に使用されます。

  • 鋼種記号: SUP6(Si含有ばね鋼)、SUP10(Cr含有ばね鋼)

  • 特性: 弾性限度、復元力。

  • 用途: 自動車部品、精密機器のばね。


工具鋼(JIS G4401):

工具鋼は、切削や成形工具として使用される高強度の鋼材です。耐摩耗性や熱処理性に優れています。

  • 鋼種記号: SKD11(冷間ダイス鋼)、SKH51(高速度鋼)

  • 特性: 高強度、耐摩耗性。

  • 用途: 切削工具、金型、パンチ。


耐熱鋼(JIS G4311):

耐熱鋼は、高温環境での使用を目的とした特殊鋼で、酸化や腐食に強い特性を持ちます。

  • 鋼種記号: SUH3(耐熱ステンレス鋼)、SUH660(析出硬化型耐熱鋼)

  • 特性: 高温強度、耐酸化性。

  • 用途: ボイラー、ガスタービン、産業炉部品。


合金鋼(JIS G4105、G4106):

合金鋼は、特定の特性を強化するために他の元素を添加した鋼材です。強度や耐食性が向上します。

  • 鋼種記号: SCM435(クロムモリブデン鋼)、SNCM439(ニッケルクロムモリブデン鋼)

  • 特性: 強度、耐食性。

  • 用途: 航空機部品、建築構造材。


2. 用途別グループ


建築分野

  • 耐熱鋼: 高温環境での部材として産業炉や配管に使用されます。

  • 合金鋼: 高強度な建築構造材として採用。


機械分野

  • 耐摩耗鋼: 建設機械の摩耗部品に使用。

  • ばね鋼: 自動車や機械のばねに適用。


インフラ分野

  • 耐熱鋼: エネルギープラントの部材に適しています。

  • 工具鋼: 機械の修理や部品製造に利用。


工具分野

  • 工具鋼: 切削工具や金型として精密加工に貢献。

  • 耐摩耗鋼: 耐久性の必要な金型材料。


3. 各特殊鋼の性質・用途


SUP6:

SUP6は、Si(ケイ素)を含むばね鋼で、高い弾性限度と復元力を持ちます。この特性により、主に自動車のサスペンションや工業機械のばね部品で使用されます。耐久性と加工性のバランスが優れており、複雑な形状のばねにも対応可能です。



SUP10:

SUP10は、Cr(クロム)を含むばね鋼で、SUP6よりも耐食性が向上しています。そのため、過酷な環境下でも長期間の使用が可能であり、特に自動車や鉄道部品に適しています。



SKD11:

SKD11は、冷間ダイス鋼の一種で、非常に高い硬度と耐摩耗性を持っています。金型やパンチ、切削工具として幅広い用途で使用され、寸法安定性にも優れています。そのため、高精度が求められる加工に適しています。



SKH51:

SKH51は、高速度鋼(ハイス)であり、高い耐熱性と耐摩耗性を兼ね備えています。高速切削が可能で、ドリルやタップ、エンドミルなどの工具として使用されます。熱処理後も高い硬度を維持します。



SUH3:

SUH3は、耐熱ステンレス鋼の一種で、高温環境下でも優れた強度と耐酸化性を発揮します。特に産業炉の部品や高温配管で使用され、長期間の信頼性を提供します。



SUH660:

SUH660は、析出硬化型耐熱鋼であり、高温下での強度と耐食性をさらに向上させた鋼種です。ボイラーやガスタービンなどの厳しい環境下での使用に適しています。



SCM435:

SCM435は、クロムモリブデン鋼の代表的な鋼種で、優れた強度と靭性を持っています。そのため、自動車のシャフトやボルト、高強度が求められる機械部品で広く使用されています。



SNCM439:

SNCM439は、ニッケルクロムモリブデン鋼で、SCM435よりもさらに高い靭性と耐疲労性を持っています。特に、航空機部品やエンジン部品など、高い信頼性が要求される用途に使用されます。



S45C:

S45Cは、炭素鋼の一種で、中程度の強度と加工性を持ちます。一般的な機械部品や軸材、歯車など、多くの用途で使用されています。



SK3:

SK3は、炭素工具鋼の一種で、高い硬度と耐摩耗性を特徴とします。切断工具や金型、シャー刃などで使用され、比較的コストパフォーマンスが良好です。



SK5:

SK5は、SK3よりも靭性を向上させた炭素工具鋼で、耐久性と加工性のバランスが取れています。ノコギリ刃や手工具、刃物全般に適しています。



SCM440:

SCM440は、SCM435の派生鋼種で、高い靭性と強度を持ちます。油井管や高圧ボルトなど、耐久性と信頼性が必要な部品に使用されます。



SUJ2:

SUJ2は、軸受鋼の代表的な鋼種で、非常に高い硬度と耐摩耗性を持っています。主にボールベアリングやローラーベアリングとして使用され、高精度が求められる部品に適しています。



H13:

H13は、熱間工具鋼の一種で、高温環境での強度と耐久性を持っています。アルミダイカスト金型や押出工具として使用されます。



NAK80:

NAK80は、プリハードン型の工具鋼で、金型加工に適しています。良好な加工性と研削性を持ち、精密金型の製造に使用されます。



DC53:

DC53は、SKD11を改良した冷間ダイス鋼で、高い靭性と耐摩耗性を兼ね備えています。パンチや金型部品に適しており、割れにくい特性を持ちます。



P20:

P20は、プリハードン型プラスチック金型鋼で、良好な機械加工性と均一な硬度を備えています。プラスチック射出成形用金型やダイカスト金型に適しています。



SKS3:

SKS3は、高靭性と耐摩耗性を持つ炭素工具鋼で、切削工具や耐衝撃工具として使用されます。錐、チゼル、刃物、パンチング工具に適しています。



SLD-MAGIC:

SLD-MAGICは、高靭性で割れにくく、耐摩耗性が向上した冷間ダイス鋼です。SKD11の改良版として冷間金型やパンチ部品に使用されます。



15CrMo:

15CrMoは、クロムとモリブデンを含む低合金耐熱鋼で、高温強度と耐酸化性に優れています。ボイラーや熱交換器、エネルギープラントの配管材に適しています。

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