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アルミニウム(A材)

アルミニウムは軽量で耐腐食性が高く、加工性に優れる金属です。JIS規格で純アルミニウムやアルミニウム合金(A5052やA6061など)がよく使用されます。自動車部品や航空機、建築材料に広く用いられます。

金属 素材

アルミニウムの種類(JIS規格および代表的なもの)

アルミニウムは、軽量で耐食性が高く、多彩な用途に対応する金属です。本記事ではJIS規格で分類されるアルミニウムの種類とその代表例を解説します。純アルミニウムから高強度な合金まで、それぞれの特徴と用途を詳しくご紹介します。航空機、建築材、自動車部品など、さまざまな分野で活躍するアルミニウムの魅力に迫ります。



1. 純アルミニウム系(1000番台)

純度が高く、耐食性や加工性に優れています。

  • A1050: 純度99.5%、耐食性に優れる

  • A1070: 純度99.7%、導電性が高い

  • A1080: 純度99.8%、電気用途で使用


2. アルミニウム銅合金(2000番台)

高強度で耐熱性があるが、耐食性は低め。航空機部品に使用されます。

  • A2011: 切削性が良い

  • A2024: 高強度、航空機の構造材に使用

  • A2219: 耐熱性と高強度


3. アルミニウムマンガン合金(3000番台)

耐食性と成形性に優れ、屋根材や飲料缶に使用されます。

  • A3003: 耐食性が高く、建材に使用

  • A3105: 飲料缶のボディに使用


4. アルミニウムシリコン合金(4000番台)

シリコン含有量が高く、耐摩耗性に優れる。

  • A4032: 高硬度と低熱膨張率

  • A4045: 自動車の冷却装置に使用


5. アルミニウムマグネシウム合金(5000番台)

耐食性が高く、海洋用途や建築に使用されます。

  • A5052: 耐食性が高く、船舶や自動車部品に使用

  • A5083: 強度が高く、船舶やタンクに使用

  • A5182: 飲料缶の蓋部分に使用


6. アルミニウムマグネシウムシリコン合金(6000番台)

強度と耐食性、加工性のバランスが良い。建材や自動車部品に使用されます。

  • A6061: 高強度、航空機や自動車部品に使用

  • A6063: 押出性が高く、建材に使用

  • A6082: 高強度、構造材に使用


7. アルミニウム亜鉛合金(7000番台)

最高強度を誇り、航空機や輸送機器に使用されます。耐食性は低い。

  • A7075: 高強度、航空機やスポーツ用品に使用

  • A7475: 耐疲労性が高く、航空機部品に使用

  • A7050: 耐食性が改善されており、航空宇宙産業で使用


8. その他特殊用途アルミニウム

  • A8000系: 電線用途で使用

  • A8111: 電線被覆に使用


代表的な用途別グループ

  • 飲料缶: A3004, A3105, A5182

  • 航空機: A2024, A6061, A7075

  • 建築材: A6063, A5083

  • 自動車: A5052, A6061


A1070:

A1070は純度99.7%の高純度アルミニウムで、特に優れた導電性を持つため、電線や電子機器、冷却装置で使用されます。その高い導電率(約62% IACS)は銅に次ぐ性能であり、軽量性からも広く採用されています。また、耐食性が高いため、腐食環境下での使用にも適しています。加工性が良く、薄膜加工や複雑な形状の成形にも対応可能です。熱伝導性の高さから、冷却フィンやヒートシンクなど放熱性が重要な部品でも重宝されます。



A1080:

A1080は純度99.8%の純アルミニウムで、電解槽や電子機器、精密部品に使用されます。特に高い導電性と耐食性を持ち、腐食が懸念される化学環境でも性能を発揮します。また、化学的安定性が求められる食品産業や医療機器分野にも適しています。陽極酸化処理を施すことで美観と耐久性を向上させることが可能です。半導体製造装置や液体冷却システムにも採用され、高い信頼性が求められる用途に最適です。



A2011:

A2011はアルミニウム銅合金の一種で、優れた切削性を特徴とします。精密機械部品や電子接続端子に適し、高速加工が可能です。寸法精度を要する用途に適応し、特にCNC加工で効率を発揮します。高い強度を持つ一方で耐食性は低いため、防錆処理が推奨されます。自動車や航空機の小型部品、電子機器の精密パーツに採用され、切削後の表面仕上げが美しいのも特徴です。



A2024:

A2024は高強度と耐疲労性を兼ね備えたアルミ銅合金で、航空機やレーシングカーの構造材に使用されます。引張強度が高く、特に動的負荷がかかる部品に最適です。ただし耐食性が低いため、アルマイト処理や防錆コーティングが必要です。航空機の胴体材、自動車のサスペンション部品、宇宙機器にも採用されており、軽量性と剛性を兼ね備えた性能が求められる場面で活躍します。



A2219:

A2219は高い耐熱性と強度を持つアルミ銅合金で、宇宙産業や航空機部品に使用されます。ロケットの燃料タンクやエンジン部品、衛星構造材で活用され、熱処理後も寸法安定性を保つ特性があります。溶接性が良好で、複雑な形状や高温環境下でも優れた性能を発揮します。また、アルマイト処理で表面耐久性を向上させることが可能です。



A3003:

A3003は耐食性と成形性に優れたアルミマンガン合金で、空調ダクト、屋根材、キッチン用品に使用されます。特に湿度や腐食が問題となる環境で安定した性能を発揮します。軽量で加工性が高く、曲げ加工や引き抜き加工が可能です。建築分野では雨樋や壁パネル、食品産業では缶の内側ライナーとして使用されています。



A3105:

A3105はリサイクル性が高いアルミマンガン合金で、飲料缶や屋外建築パネルに使用されます。軽量でありながら、耐食性が高く、長期間の使用にも耐えるため、屋外環境での使用に適しています。飲料缶のボディ材として広く普及し、またサッシや雨戸などの建築用途にも利用されています。



A4032:

A4032は高硬度と低熱膨張率を持つアルミシリコン合金で、エンジン部品に使用されます。特に高性能車のピストンやブレーキ部品で重宝され、高温環境下でも寸法精度を維持します。また、耐摩耗性に優れ、動摩擦が問題となる用途でも高い耐久性を発揮します。



A4045:

A4045は優れた耐熱性と加工性を持つアルミシリコン合金で、自動車のラジエーターやオイルクーラーなど冷却装置に使用されます。熱伝導率が高く、過酷な熱環境下でも安定した性能を発揮します。薄膜化された設計が可能で、軽量化が求められる分野で活躍しています。



A5052:

A5052はアルミニウムマグネシウム合金で、耐食性が非常に高く、特に海洋用途や化学薬品環境に適しています。中程度の強度と優れた溶接性を持つため、船舶、燃料タンク、化学薬品の貯蔵容器に使用されます。加工性も良好で、曲げや深絞り加工にも対応可能です。さらに、陽極酸化処理により、美観を損なわずに耐久性を向上させることができます。特に湿気や塩害が問題となる環境下で重宝されます。



A5083:

A5083は高い耐食性と強度を兼ね備えたアルミニウムマグネシウム合金で、船舶や潜水艦、タンク、圧力容器に使用されます。海洋環境での耐久性が抜群で、耐塩性に優れています。溶接性が高く、溶接後も優れた機械的特性を維持します。化学薬品の貯蔵や輸送に適し、クルーズ船の構造材や軍用車両の装甲パネルにも使用される信頼性の高い素材です。



A5182:

A5182は成形性に優れたアルミニウムマグネシウム合金で、飲料缶の蓋や自動車のボディパネルに使用されます。軽量で耐久性が高く、曲げや深絞り加工にも適しています。特にリサイクル性が高いことから、飲料缶業界で広く採用されています。また、耐食性も良好で、湿気の多い環境下でも長期的な使用が可能です。軽量化と強度の両立が求められる用途に最適です。



A6061:

A6061はアルミニウムマグネシウムシリコン合金で、強度、耐食性、加工性のバランスが優れています。航空機、自動車部品、建築構造材、工業用フレームに使用され、溶接後も高い強度を保つ特性があります。また、熱処理による強度向上が可能で、動的負荷がかかる用途にも対応可能です。軽量で剛性が必要な産業分野で幅広く利用されており、耐候性にも優れています。



A6063:

A6063は押出性に特化したアルミニウムマグネシウムシリコン合金で、窓枠、ドアフレーム、建築用パネルなどに使用されます。表面仕上げが美しく、陽極酸化処理を施すことで耐候性と装飾性を向上させることができます。また、軽量で加工性が良いため、曲げや切断も容易です。建材以外にも自動車や家電の装飾部材としても利用されています。



A6082:

A6082は高強度を持つアルミニウムマグネシウムシリコン合金で、産業用構造材や輸送機器、クレーン部品に使用されます。特に高い耐疲労性を持ち、荷重がかかる用途に適しています。溶接後の機械的特性も良好で、重量を削減しながら強度を確保する必要がある製品に最適です。加工後の寸法安定性が高く、大型構造物に向いています。



A7075:

A7075は最高レベルの強度を誇るアルミニウム亜鉛合金で、航空機やスポーツ用品、自転車フレームに使用されます。引張強度が高く、軽量で剛性が求められる用途に最適です。一方で耐食性が低いため、防錆処理が必須です。特に高負荷がかかる環境で性能を発揮し、レーシングカーや軍事用途でも採用されています。熱処理による強度向上が可能です。



A7475:

A7475は耐疲労性に優れたアルミニウム亜鉛合金で、航空宇宙分野で広く使用されています。ジェット機の翼材やフレーム材、宇宙機器の構造材に採用され、高い強度と軽量性を求められる用途に適しています。また、熱処理後の機械的特性が非常に優れており、応力集中の高い箇所にも使用可能です。



A7050:

A7050は耐食性と高強度のバランスが良いアルミニウム亜鉛合金で、航空機の胴体材や主要構造材に使用されています。耐腐食性が向上しており、特に湿度や塩害が問題となる環境での使用に最適です。軽量性と剛性が求められる航空宇宙産業や輸送機器において信頼性の高い素材として評価されています。



A8000系:

A8000系は電線や電子部品に使用されるアルミニウム合金で、軽量で導電性に優れています。銅に比べて軽量でありながら十分な導電率を持ち、電力コスト削減や軽量化が求められる用途に採用されています。高い加工性を持ち、薄膜や複雑な形状にも対応可能です。



A8111:

A8111は電線被覆材として使用されるアルミニウム合金で、柔軟性と耐久性に優れています。加工時の損傷が少なく、配線用途において長期的な信頼性を提供します。電気絶縁性の高い設計と併用され、電力供給システムで広く採用されています。

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