クロムモリブデン鋼(SCM材)
SCM材はクロムとモリブデンを添加した合金鋼で、高い強度と耐熱性を持ちます。JIS規格ではSCM415やSCM440が一般的で、自動車部品や航空機の部品に適しています。

概要
**クロムモリブデン鋼(SCM材)**は、鉄にクロムとモリブデンを添加した合金鋼で、優れた強度・耐熱性・耐摩耗性を持つ材料です。自動車部品や産業機械、化学プラントなど、過酷な環境下で使用される部品に広く活用されています。焼入れや焼き戻しなどの熱処理により、性能をさらに向上させることが可能です。
クロムモリブデン鋼(SCM材)の特徴
優れた強度
特徴: クロムとモリブデンの添加により、高い引張強度と靭性を実現。
用途: 高負荷がかかる部品や衝撃に耐える部品。
耐熱性
特徴: 高温下でも強度と靭性を保つ。
用途: エンジン部品、ボイラー部材など、高温環境での使用に適しています。
耐摩耗性
特徴: 表面硬化処理で耐摩耗性を大幅に向上。
用途: 歯車やシャフトなど、摩耗の多い部品。
加工性
特徴: 熱処理による硬度調整が可能で、複雑な形状の加工にも対応可能。
用途: 切削加工、熱処理を伴う部品製造。
コストパフォーマンス
特徴: 高性能ながらコスト効率が良く、広範な用途に対応。
用途: 機械構造用部品、化学プラント部材。
クロムモリブデン鋼(SCM材)の種類
焼入れ・焼き戻し鋼
SCM415
特徴: 表面硬化に優れ、靭性を保ちながら表面硬度を向上可能。
用途: 歯車、シャフト、カムなど。
SCM420
特徴: 中炭素鋼に分類され、強度と加工性のバランスが良い。
用途: ボルト、シャフト、工具。
高強度合金鋼
SCM435
特徴: 高強度と耐熱性を兼ね備え、過酷な環境下での使用に適する。
用途: 高強度ボルト、ナット、シャフト。
SCM440
特徴: 高炭素鋼で、耐熱性・耐摩耗性が非常に高い。
用途: 高負荷部品、エンジン部品、建設機械部材。
特殊用途鋼
SCM445
特徴: 耐熱性と強度がさらに向上し、特殊環境下での使用に対応可能。
用途: 高温配管、航空機部品。
SCM447
特徴: クロムとモリブデン含有量が多く、極めて高い耐熱性と耐摩耗性を発揮。
用途: タービンシャフト、宇宙機器部品。
加工事例と弊社の強み
加工事例
自動車部品
エンジン部品、シャフト、ギアなど、高い強度と耐熱性が求められる部品。
産業機械部品
歯車や軸受け、重負荷を受けるピンやシャフト。
化学プラント部品
耐腐食性と耐圧性を持つ配管、バルブ、熱交換器。
建設機械部品
高強度と耐摩耗性を兼ね備えたクレーン部品や重機部材。
弊社の強み
多様な材質の取り扱い
SCM415、SCM435、SCM440など、豊富な材質在庫を迅速に供給。
高精度加工技術
切削加工、熱処理、表面処理を含む一貫した製造体制。
短納期対応
試作から量産まで柔軟に対応し、高品質な製品を迅速に納品。
技術的アドバイス
お客様の用途に最適な材質や加工方法の選定をサポート。
クロムモリブデン鋼(SCM材)の選び方と注意点
選び方
使用環境に応じた選定
高温や高負荷環境では、耐熱性・耐摩耗性に優れたSCM440以上を選ぶ。
加工性を考慮
複雑な形状が必要な場合は、加工性の高い材質を選定。
コストと性能のバランス
性能が求められる用途には、適切なコストの材質を選ぶことが重要。
注意点
熱処理条件
焼き入れや焼き戻し条件を正確に管理する必要があります。
環境条件
耐食性が求められる場合は、適切な表面処理を施すことが推奨されます。
加工方法一覧
切削加工
高精度な旋盤加工、フライス加工に対応。
熱処理
焼き入れや焼き戻しによる硬度と靭性の調整が可能。
表面処理
メッキ、塗装、アルマイト処理で耐久性を向上。
特殊加工
放電加工やCNC加工により、複雑な形状の製造が可能。
