
私たちの生活に欠かせない「プラスチック」。
実はその多くが「樹脂」と呼ばれる素材からできていることをご存じですか?
この記事では、製造・設計に関わる初心者の方に向けて、「樹脂とは何か」「どんな種類があるのか」「どんな特長があるのか」をわかりやすく解説します。
樹脂とは?プラスチックとの違いは?
もともと「樹脂」は、木の樹液のような天然の粘性物質を指していました。
しかし現在では、人工的に合成された プラスチック素材のことも広く「樹脂」と呼びます。
樹脂の大きな特長は、次の3つです。
軽くて丈夫
加工しやすい
用途が広い
樹脂の種類は大きく2つに分けられる
樹脂は、熱に対する性質によって「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2つに分類されます。
熱可塑性樹脂(Thermoplastic Resin)
熱で柔らかくなり、冷やすと固まるタイプ。
再加熱すると再び成形できるため、リサイクルにも適しています。
代表例:
PET(ペットボトル)
PE(ポリエチレン)
PP(ポリプロピレン)
熱硬化性樹脂(Thermosetting Resin)
一度固まると、加熱しても元に戻らないタイプ。
耐熱性・機械的強度に優れており、構造材などに使用されます。
代表例:
エポキシ樹脂
フェノール樹脂
樹脂の主な特徴
樹脂は、多くの産業分野で使われている理由があります。
主な特長をまとめると、以下のとおりです。
軽量で成形性に優れる
耐水性・耐薬品性に強い
電気を通さず絶縁性が高い(安全)
身近な活用例
樹脂は、私たちの身の回りでも幅広く使われています。
日用品(容器、包装フィルムなど)
家電製品(外装カバー、内部パーツ)
医療機器(注射器、ディスポーザブル用品)
樹脂の加工方法
製品に応じて、さまざまな加工方法が採用されます。
射出成形(インジェクション)
溶かした樹脂を金型に流し込んで冷却・成形。
大量生産向きで、自動車部品や家電パーツなどに使われます。
押出成形(エクストルージョン)
樹脂を連続的に押し出して成形する方法。
パイプやフィルムなどに適しています。
3Dプリント(積層造形)
デジタル設計データに基づいて樹脂を一層ずつ積み重ねる方式。
試作や少量生産に最適な最新技術です。
まとめ
普段何気なく使っているプラスチック製品も、その素材である「樹脂」にはさまざまな種類と特長があります。
製造・設計・品質管理の現場に携わる方はもちろん、モノづくりに興味がある方も、ぜひ基本知識として覚えておきましょう。