
銅(どう)や真鍮(しんちゅう)ってなに?と思った方へ
金属加工の現場では、銅と真鍮は非常によく使われる材料です。見た目が似ていることから混同されやすい2つですが、それぞれに異なる特性や用途、加工時の注意点があります。
この記事では、銅と真鍮の違いを初心者にもわかりやすく解説し、最適な材料選定のヒントをお届けします。
銅と真鍮の基本的な違い
銅(Copper)は元素記号「Cu」で表される純金属で、赤みを帯びた美しい金属光沢を持ちます。一方、真鍮(Brass)は銅に亜鉛を加えた合金で、黄色っぽい色合いが特徴です。

銅の特性と用途
銅は高い導電性・熱伝導性を持ち、電気・電子部品の定番材料として知られています。また、抗菌性もあるため、水道管やキッチン設備にも使われます。柔らかく、展延性に優れており、板材・線材など様々な形状に加工しやすいのもメリットです。
主な用途例:
電線・ケーブル
プリント基板(PCB)
熱交換器・ラジエーター
配管・水道管
建築装飾材
真鍮の特性と用途
真鍮は、銅に比べてやや硬く、強度と耐摩耗性に優れています。そのため、機械部品や装飾品、楽器、ネジなど多様な分野で使われています。切削性も良好で、精密加工にも適しています。
主な用途例:
水栓金具・バルブ部品
建築用金具(ドアノブ、蝶番など)
装飾品・アクセサリー
管楽器
時計部品・ネジ類
加工性の違いと選定ポイント
加工方法においては、銅は伸びやすく、曲げ加工やプレス加工に向いていますが、粘りがあり削りにくい面もあります 。一方、真鍮は適度な硬さと切削性を備えており、CNC加工や旋盤加工との相性が良いです。
また、外観や仕上がりの面でも選定ポイントがあります。銅は赤みのある風合いを活かしたデザインに向いており、真鍮は高級感ある黄金色で意匠性を重視する場面に好まれます。
選定のチェックポイント:
電気・熱伝導を重視 → 銅
耐摩耗性・切削性を重視 → 真鍮
高級感ある外観が必要 → 真鍮
柔軟な成形加工が必要 → 銅
まとめ
銅と真鍮は、それぞれに異なる強みを持つ金属です。導電性や柔らかさを活かしたいなら銅、強度や加工のしやすさを重視するなら真鍮が適しています。用途や加工方法に応じて適切に選定することで、製品の品質や効率が大きく向上します。
金属加工の現場では、素材の特性を深く理解することが、品質とコストの最適化に直結します。この記事を参考に、より的確な材料選定をしてみてください。