レーザー切断
レーザ切断は、集光したレーザを試料に直接照射して溶融させ、溶融金属をレーザと同軸で流れるアシストガスで吹き飛ばすことによって切断する加工法である。

レーザー切断とは
レーザー切断は、高密度に集光されたレーザー光を材料に照射し、その熱エネルギーで材料を溶融させ、溶融物をアシストガスで吹き飛ばして切断する加工法です。
この技術は、金属からプラスチックまでさまざまな素材に適用可能で、高精度かつ複雑な形状の加工が求められる場面で広く活用されています。
ここでは、レーザー切断の仕組みや種類、適用金属、注意点などについて詳しく解説します。
レーザー切断の基本的な仕組み
レーザー切断は、レーザー発振器から生成されたレーザー光をレンズで集光し、材料に照射することで加工を行います。以下は基本的なプロセスです。
集光と照射: レーザー光をレンズで1点に集中させ、非常に高いエネルギー密度を生み出します。
溶融: 照射点が急速に高温になり、金属や他の材料が溶融します。
除去: 同軸で供給されるアシストガス(酸素、窒素、または空気)によって溶融物が吹き飛ばされます。
レーザー切断は非接触で行われるため、工具の摩耗がなく、高精度かつ効率的な加工が可能です。
主な加工内容
直線切断: 金属板やプラスチックの直線的な切断。
曲線切断: 複雑な形状や細かいディテールを含む加工。
穴あけ加工: 小径から大径まで、様々なサイズの穴を正確に作成。
レーザー切断の種類
レーザー切断は、使用されるレーザーの種類や目的に応じていくつかの方法に分類されます。
1. フュージョン切断
溶融金属を窒素やアルゴンなどの不活性ガスで吹き飛ばして切断する方法。酸化を防ぎ、高品質な切断面を得られます。
2. 酸素切断
酸素ガスを使用して溶融物を除去しつつ、酸化反応による発熱を利用する方法。厚い金属板の切断に適しています。
3. 蒸発切断
非常に高温で材料を瞬間的に蒸発させて切断する方法。主にプラスチックや木材などの非金属材料に使用されます。
レーザー切断に適した金属
レーザー切断は、多くの金属素材に適用可能です。以下はその代表例です。
炭素鋼: 精密な切断が可能で、幅広い用途に適しています。
ステンレス鋼: 耐腐食性を維持しながら切断可能。
アルミニウム: 軽量で加工性が良好なため、航空機部品などに活用。
チタン: 高強度で軽量なため、医療機器や航空宇宙産業に使用。
銅および真鍮: 高反射性を考慮した特殊なレーザーで加工可能。
レーザー切断で対応が難しい金属
以下の金属は、レーザー切断が難しい場合があります。
高反射性金属(例: 銀、金): レーザー光を反射しやすく、切断効率が低下します。
厚い金属板(特定の材料): 熱伝導率が高いと、熱が拡散して切断が難しくなります。
鋳造金属: 表面が粗いため、均一な切断が難しい場合があります。
レーザー切断の活用例
レーザー切断は、以下の分野で広く利用されています。
自動車産業: 車体部品やエンジン部品の製造。
航空宇宙産業: 軽量かつ高精度が求められる部品の加工。
電子機器: 精密部品や基板の加工。
建築分野: 建材や装飾品の製造。
医療機器: 高い精度が求められるツールや部品。
レーザー切断のメリット
高精度: ミクロン単位の精密加工が可能。
非接触加工: 工具の摩耗がなく、長期間安定した品質を維持。
多様な形状加工: 複雑なデザインや細かい加工にも対応可能。
高速加工: 他の切断方法に比べて加工速度が速い。
低コスト: 従来の工具と比較してメンテナンスコストが低減。
レーザー切断の注意点
設備コスト: 初期投資が高額であるため、導入には計画が必要。
反射性材料への対応: 高反射性の金属は専用のレーザーが必要。
熱影響: 熱が周囲に広がると、材料に歪みが生じる可能性がある。
安全対策: レーザー光や発生する煙に対して適切な防護が必要。
まとめ
レーザー切断は、高精度、高速加工が可能な先進的な切断技術です。その仕組みや種類を正しく理解し、適切な用途で活用することで、製品の品質と製造効率を大幅に向上させることができます。
さまざまな分野で活用されるこの技術は、現代の製造業において欠かせない存在と言えるでしょう。