Total Runout Tolerance
全振れとは?
全振れとは?|回転体全体のブレを総合的に管理する幾何公差
全振れ(ぜんふれ)とは、部品を基準軸まわりに回転させたとき、円筒全体(軸方向を含む)がどれだけブレるかを規定する幾何公差です。JIS B 0419(ISO GPS)で定義されており、円周振れよりも評価範囲が広く、回転体の総合精度を管理します。
高速回転部品や、高精度な摺動・密封が必要な部位で重要な公差です。
全振れの特徴
全振れの最大の特長は、円筒形状全体を回転させながら評価する点です。
円周振れ+真直度+同軸度の影響を包含
軸方向全体の精度を一括評価
実使用状態に非常に近い精度管理
回転品質を総合的に保証
局所的に良くても、全体として歪んでいる状態を防げます。
全振れで得られる主な効果
全振れを適切に指定することで、以下の効果が得られます。
高速回転時の振動・騒音低減
偏摩耗・焼き付きの防止
ベアリング・シール寿命の向上
回転精度の安定
長期使用時の信頼性向上に直結します。
全振れの対象となる要素
全振れは、以下のような回転要素に対して指定されます。
シャフト外径全体
円筒外周・内周
ベアリング嵌合部
ローラ・ドラム
高速回転軸
軸方向に長さを持つ回転部品が主な対象です。
全振れの図面表記方法
全振れは、**全振れ記号+許容値+基準(データム)**で指定されます。
例:
全振れ 0.03|A
この場合、対象円筒を回転させながら測定したときの最大振れ量が0.03mm以内であることを意味します。
全振れと寸法公差の違い
寸法公差直径・長さの大きさを管理
全振れ回転時の総合的なブレを管理
寸法が公差内でも、全体として振れていれば機能不良になります。
全振れと円周振れの違い
円周振れ断面ごとの回転ブレ(局所評価)
全振れ円筒全体の回転ブレ(包括評価)
高精度が必要な場合は、全振れが優先されます。
全振れ指定時の注意点
全振れを指定する際は、以下に注意が必要です。
基準軸(データム)の設定が最重要
加工工程順(同時加工)が品質に影響
測定方法(回転測定)を想定する
不要に厳しい指定はコスト増につながる
回転機能に直結する部位に限定して指定することが重要です。
全振れが重要な主な用途
高速モータシャフト
精密ローラ・ドラム
ベアリング嵌合部
シール・摺動部品
精密回転機構
回転安定性が性能・寿命を左右する分野で多用されます。
まとめ
全振れは、回転体全体のブレを総合的に管理し、実使用状態での回転精度を保証する幾何公差です。円周振れより厳密な管理が可能で、高精度・高信頼性が求められる回転部品に不可欠な指定といえます。
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