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SUS430 Stainless Steel

SUS430

SUS430とは、フェライト系ステンレス鋼に分類される代表的なステンレス材料です。


主成分としてクロムを含みますが、SUS304のようにニッケルを多く含まないため、比較的コストを抑えやすい点が特徴です。一般的には「18クロムステンレス」と呼ばれることもあります。


SUS304がオーステナイト系で基本的に非磁性であるのに対し、SUS430はフェライト系のため磁性があります。磁石に付くステンレスとして知られており、厨房機器、家電部品、内装部品、建築金物、装飾部品などで広く使われています。



■SUS430の基本情報


項目

内容

材料分類

フェライト系ステンレス鋼

英語表記

SUS430 Stainless Steel / AISI 430 Stainless Steel

主成分

鉄、クロム

特徴

磁性あり、比較的安価、耐食性、加工性

磁性

あり

主な用途

厨房機器、家電部品、内装部品、装飾金物、建築金物

注意点

SUS304より耐食性・溶接性は劣る場合がある

■SUS430の特徴


SUS430の特徴は、磁性があり、コストを抑えやすいことです。


ニッケルを多く含まないため、SUS304やSUS316系に比べて材料価格が安定しやすく、コスト重視のステンレス部品に向いています。


耐食性は一般的な屋内環境では十分に発揮できますが、塩分、薬品、水分が長時間付着する環境では、SUS304やSUS316系に比べて錆びやすくなる場合があります。


そのため、SUS430は「高耐食性よりも、見た目・磁性・コストを重視する用途」に適したステンレス材料です。



■SUS430のメリット


メリット

内容

コストを抑えやすい

ニッケル含有量が少なく、SUS304より安価な場合が多い

磁性がある

磁石が付くため、マグネット利用部品に適する

外観性が良い

研磨、ヘアライン、鏡面仕上げに対応しやすい

熱膨張が比較的小さい

オーステナイト系より熱膨張が小さく、熱変形を抑えやすい

屋内用途に使いやすい

厨房機器、家電、内装部品などで広く使える

■SUS430のデメリット


SUS430は、SUS304に比べると耐食性や溶接性で劣る場合があります。


特に、海岸地域、屋外、塩分を含む水がかかる場所、薬品環境では、錆や腐食が発生しやすくなることがあります。耐食性を重視する場合は、SUS304、SUS316、SUS316Lなどを検討する必要があります。


また、フェライト系ステンレスは延性や靭性がオーステナイト系より低い傾向があり、深絞りや複雑な成形では加工条件に注意が必要です。



■SUS430の主な用途


分野

主な用途

厨房機器

シンク周辺部品、レンジフード、調理機器、棚、カバー

家電部品

洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、外装部品

建築金物

内装パネル、装飾金物、見切り材、建具部品

自動車部品

排気系カバー、内装金具、装飾部品

板金加工

カバー、パネル、ケース、ブラケット

磁性用途

マグネット固定部、磁石を使う取付部品

■SUS430の加工性


SUS430は、レーザー切断、曲げ加工、プレス加工、研磨加工などに対応できます。


板金加工では、カバーやパネルなど比較的シンプルな形状に使われることが多く、コストを抑えたステンレス部品として有効です。


ただし、SUS304と比べると成形性に制約が出る場合があります。深絞りや強い曲げ、複雑な成形では、割れや表面荒れに注意が必要です。


外観部品では、ヘアライン方向、表面傷、保護フィルムの有無を事前に確認することが重要です。



■SUS430の溶接性


SUS430も溶接は可能ですが、SUS304に比べると溶接性はやや劣ります。


溶接熱の影響で結晶粒が粗くなったり、溶接部の靭性が低下したりする場合があります。また、溶接部周辺の耐食性低下にも注意が必要です。


薄板のスポット溶接や抵抗溶接には使われることがありますが、強度や耐食性が重要な溶接構造では、SUS304やSUS316系の方が適している場合があります。


溶接後の焼け取りや表面処理も、使用環境に応じて検討する必要があります。



■SUS430とSUS304の違い


項目

SUS430

SUS304

系統

フェライト系

オーステナイト系

磁性

あり

基本的には非磁性

主成分

クロム系

クロム・ニッケル系

耐食性

一般屋内向け

SUS430より高い

加工性

一般加工向け

成形性・溶接性が高い

コスト

比較的安価

SUS430より高価な場合が多い

主な用途

家電、厨房、内装、装飾

食品機械、医療、装置部品、板金全般

■SUS430とSUS316Lの違い

項目

SUS430

SUS316L

系統

フェライト系

オーステナイト系

耐食性

一般環境向け

高耐食・耐薬品・耐塩害向け

磁性

あり

基本的には非磁性

コスト

抑えやすい

高価

溶接性

条件に注意

良好

主な用途

家電・厨房・内装

医療・食品・化学・海洋環境

■SUS430の注意点


SUS430はステンレスですが、使用環境によっては錆びます。


特に、塩分、水分、洗剤、薬品、鉄粉が付着する環境では、錆やもらい錆が発生する場合があります。屋外や水回りで長期間使用する場合は、SUS304以上の材料を検討することがあります。


また、外観部品では表面傷や研磨方向が目立ちやすいため、ヘアライン方向や保護フィルム面を明確にすることが重要です。


◆曲げ加工やプレス加工では、材料の割れ、スプリングバック、表面荒れにも注意が必要です。



■図面指示で注意すべきこと


図面では、材質を「SUS430」と明記し、板厚、表面仕上げ、研磨方向、保護フィルムの有無を指定します。


外観部品では、「HL仕上げ」「#400研磨」「鏡面仕上げ」「片面保護フィルム」などの指定が重要です。


磁性を利用する用途では、SUS430を選定する理由を明確にしておくと、SUS304などへの材料置換によるトラブルを防ぎやすくなります。


水回りや屋外で使用する場合は、使用環境を伝えたうえで、SUS430で問題ないか事前に確認することが大切です。



■まとめ


SUS430は、磁性を持つフェライト系ステンレス鋼です。SUS304に比べてコストを抑えやすく、厨房機器、家電部品、内装部品、装飾金物、板金カバーなどに広く使われています。


一方で、耐食性や溶接性はSUS304やSUS316Lに劣る場合があり、塩害環境、薬品環境、屋外、水分が多い場所では注意が必要です。


SUS430は、コスト、外観性、磁性を重視する用途に適したステンレス材料です。使用環境、耐食性、加工方法、表面仕上げを考慮して選定することで、品質とコストのバランスを取りやすくなります。

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