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Spring-Go

スプリングゴー

スプリングゴーとは、板金や金属材料を曲げ加工した後、荷重を解除した際に、材料が元に戻るのではなく、曲げた方向へさらに入り込むように角度変化する現象です。


一般的には、曲げ加工後に角度が開く現象を「スプリングバック」と呼びます。一方、スプリングゴーはその逆で、曲げ角度がさらに閉じる方向に変化する現象です。


たとえば、90度に曲げたつもりでも、加工後に88度や87度のように内側へ入り込む場合があります。このような戻りとは逆方向の角度変化がスプリングゴーです。



■スプリングバックとの違い


スプリングバックは、曲げた材料が元の平らな状態に戻ろうとして、曲げ角度が開く現象です。板金曲げ加工では非常に一般的で、ステンレスやアルミ、高張力鋼などでよく問題になります。


一方、スプリングゴーは、材料が曲げ方向へさらに進み、角度が閉じる現象です。通常の曲げ加工ではスプリングバックの方が多く見られますが、加工条件、金型条件、材料特性、曲げ形状によってはスプリングゴーが発生することがあります。


つまり、

スプリングバックは「角度が戻って開く」、

スプリングゴーは「角度がさらに入り込んで閉じる」と整理できます。



■スプリングゴーが起こる理由


スプリングゴーは、曲げ加工時の応力状態や材料内部のひずみ分布によって発生します。


曲げ加工では、材料の外側には引張応力、内側には圧縮応力が発生します。通常は荷重を解除すると弾性回復によって角度が開きますが、加工条件によっては内部応力のバランスが変わり、曲げ方向へさらに変形する場合があります。


特に、深い曲げ、鋭角曲げ、底突き曲げ、コイニング、成形加工を伴う曲げでは、材料が金型に強く押し込まれるため、曲げ部の応力分布が複雑になります。


その結果、スプリングバックとは逆方向の角度変化が起こることがあります。



■スプリングゴーが発生しやすい条件


スプリングゴーは、材料を強く押し込む加工条件で発生しやすくなります。


代表的な条件として、底突き曲げやコイニングのように、材料を金型に強く拘束する曲げ加工があります。強い加圧によって曲げ部が大きく塑性変形し、荷重解除後に角度が閉じる方向へ動く場合があります。


また、鋭角曲げや小さな曲げRでも注意が必要です。曲げ部に大きな変形が集中すると、材料内部の応力バランスが変化し、狙った角度よりも曲がり込みが強くなることがあります。


さらに、材料の板厚、強度、伸び、圧延方向、金型形状によっても発生しやすさが変わります。



■スプリングゴーが品質に与える影響


スプリングゴーが発生すると、曲げ角度が図面指定よりも小さくなり、部品の組立性や寸法精度に影響します。

たとえば、90度で組み付ける部品が88度に仕上がると、相手部品との接触面が合わない、穴位置がずれる、カバーが浮く、溶接前の隙間が不均一になるなどの問題が発生します。


また、複数の曲げがある部品では、1か所の角度ズレが全体寸法に影響します。角度が閉じすぎることで、部品同士の干渉や組立時の無理な押し込みが発生する場合もあります。


そのため、スプリングゴーはスプリングバックと同様に、曲げ精度を管理するうえで重要な現象です。



■材料別の注意点


鉄軟鋼   :比較的安定した曲げ加工がしやすいものの、底突き曲げやコイニング条件によっては

       スプリングゴーが発生する場合があります。

ステンレス :強度が高く、スプリングバックが大きい材料として知られていますが、

       強い押し込み加工では角度が入り込みすぎる場合もあります。

       金型条件や加圧量の調整が重要です。

アルミ   :材質や熱処理状態によって挙動が変わります。

       柔らかいアルミでは押し込みによる形状変化が出やすく、

       硬質アルミでは割れや角度ばらつきに注意が必要です。


◆高張力鋼やばね性の強い材料では、スプリングバックが大きく出やすい一方、成形条件によっては予測しにくい角度変化が発生するため、試作確認が重要です。



■スプリングゴーへの対応方法


スプリングゴーへの対応では、まず実際の角度変化を測定することが重要です。

スプリングバックと異なり、材料や条件によって発生方向が変わるため、初品確認や試し曲げで傾向を把握します。


次に、金型条件や押し込み量を調整します。底突き曲げやコイニングで角度が入り込みすぎる場合は、加圧量を抑える、金型角度を見直す、曲げ方法を自由曲げに変更するなどの対応が考えられます。


また、曲げRやダイ幅の見直しも有効です。曲げ部に過度な変形が集中しないように設計することで、角度ばらつきを抑えやすくなります。



■図面指示で注意すべきこと


図面では、曲げ角度、内R、基準面、寸法公差を明確に指定することが重要です。


スプリングゴーが問題になりやすい部品では、単に角度を指定するだけでなく、組立時に重要となる面や寸法を明確にしておくと、加工業者が補正しやすくなります。


また、角度精度が厳しい場合は、許容角度を明記することが大切です。たとえば「90度±0.5度」など、どこまで許容できるかを示すことで、加工条件の選定がしやすくなります。



■依頼時に確認すべきこと


スプリングゴーが懸念される部品を依頼する際は、材質、板厚、曲げ角度、曲げR、曲げ方法、数量、寸法公差、後工程の有無を確認します。


特に、底突き曲げやコイニングを使う場合、加圧条件によって角度が変化するため、試作や初品確認が重要です。


曲げ後に溶接、組立、塗装、メッキなどがある場合は、角度の入り込みが後工程に影響しないか確認しておく必要があります。



■まとめ


スプリングゴーとは、板金や金属材料を曲げた後に、材料が曲げ方向へさらに入り込み、角度が閉じる方向に変化する現象です。スプリングバックが「角度が開く現象」であるのに対し、スプリングゴーは「角度が閉じる現象」といえます。


発生要因には、材料特性、板厚、曲げR、金型形状、押し込み量、底突き曲げ、コイニングなどが関係します。角度が入り込みすぎると、組立不良、干渉、寸法ズレの原因になります。


安定した曲げ加工を行うには、試し曲げ、初品確認、金型条件の調整、押し込み量の管理が重要です。


スプリングバックとスプリングゴーの両方を理解することで、板金部品の角度精度と組立品質を高めることができます。


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