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SPHC Steel

SPHC

SPHCとは、熱間圧延鋼板を表す鋼材記号です。


高温に加熱した鋼材を圧延して板状にした材料で、一般的には「熱延鋼板」「ホット材」「黒皮材」と呼ばれることもあります。


SPCCが冷間圧延鋼板であるのに対し、SPHCは熱間圧延によって製造されるため、表面には酸化皮膜である黒皮が残る場合があります。


表面外観よりも、強度、加工性、コスト、入手性を重視する部品に使われ、機械部品、架台、ブラケット、ベースプレート、補強板、構造部材などで広く使用されます。


■SPHCの基本情報


項目

内容

材料分類

熱間圧延鋼板

英語表記

SPHC Steel / Hot Rolled Steel Sheet

主成分

鉄、炭素、マンガンなど

特徴

コスト性、加工性、溶接性、入手性に優れる

表面状態

黒皮、酸化スケールが残る場合あり

主な用途

架台、ブラケット、補強板、ベース、機械構造部品

注意点

表面粗さ、錆、防錆処理、外観用途には注意

■SPHCの特徴


SPHCの特徴は、比較的安価で加工しやすく、厚めの板材にも対応しやすいことです。


熱間圧延で作られるため、冷間圧延鋼板であるSPCCに比べると、表面の滑らかさや板厚精度はやや劣る傾向があります。


一方で、材料コストを抑えやすく、構造部材や強度部品に使いやすい点がメリットです。


◆外観品質を最重視する部品よりも、塗装前提の機械部品、補強部品、構造用途に適しています。



■SPHCのメリット


メリット

内容

コストを抑えやすい

冷延材やステンレスに比べて安価な場合が多い

加工性が良い

切断、曲げ、溶接、穴あけに対応しやすい

厚板に対応しやすい

構造部品や補強部品に使いやすい

溶接性が良い

一般的な鉄系材料として溶接しやすい

入手性が高い

汎用鋼板として流通量が多い

■SPHCのデメリット


SPHCのデメリットは、表面品質がSPCCほどきれいではないことです。


熱間圧延材のため、表面に黒皮や酸化スケールが残る場合があります。

そのまま塗装すると密着不良や外観不良につながることがあるため、必要に応じてショットブラスト、研磨、酸洗い、脱脂などの下地処理を行います。


また、鉄系材料のため錆びやすく、屋外や水分の多い環境では塗装、メッキ、防錆油などの防錆処理が必要です。



■SPHCの主な用途


分野

主な用途

機械加工

ベースプレート、ブラケット、補強板、取付金具

板金加工

カバー、架台部品、フレーム部品、曲げ部品

建築・設備

金物、下地部材、補強部材、支持部材

産業機械

装置フレーム、機械ベース、保護部品

自動車・輸送機器

補強部品、プレス部品、構造部品

塗装部品

焼付塗装、粉体塗装、黒塗装前提部品

■SPHCの加工性


SPHCは、レーザー切断、ガス切断、プラズマ切断、シャーリング、曲げ加工、穴あけ、溶接などに対応しやすい材料です。


曲げ加工では、比較的粘りがあり、一般的な板金曲げに使いやすい材料です。ただし、板厚が厚くなるほど曲げ荷重が大きくなり、曲げRやV幅の選定が重要になります。


レーザー加工では、表面の黒皮やスケールの状態によって切断品質に影響する場合があります。外観部品や精密部品では、表面状態の確認が必要です。



■SPHCの溶接性


SPHCは、鉄系材料として溶接性に優れています。MAG溶接、アーク溶接、TIG溶接、スポット溶接、プロジェクション溶接など、さまざまな溶接方法に対応できます。


架台、ブラケット、フレーム、補強部品などでは、溶接構造として使われることも多い材料です。


ただし、表面に黒皮や油分、錆があると溶接品質に影響する場合があります。安定した溶接を行うには、必要に応じて表面清掃、研磨、脱脂を行うことが重要です。



■SPHCとSPCCの違い


項目

SPHC

SPCC

分類

熱間圧延鋼板

冷間圧延鋼板

表面品質

黒皮・スケールが残る場合あり

滑らかできれい

板厚精度

SPCCより粗い傾向

高い

コスト

比較的安価

SPHCより高い場合あり

主な用途

構造部品、補強部品、架台

カバー、筐体、外観部品、塗装部品

外観性

下地処理が必要な場合あり

塗装下地に使いやすい

■SPHCとSS400の違い


SPHC(熱間圧延鋼板)  → ・主に板材として使われます。

               ・板金加工やプレス加工用の熱延鋼板として使われることが多い


SS400(一般構造用圧延鋼材)  → ・板材だけでなく形鋼、丸棒、平鋼など幅広い形状で流通しています。

                  ・SS400はフレーム、架台、構造材、機械部品などで使われます。


◆どちらも鉄系の汎用材料ですが、用途や必要な強度、板厚、流通形状によって使い分けます。



■SPHCの注意点


SPHCは錆びやすい材料のため、防錆対策が重要です。


加工後にそのまま放置すると、湿気や手汗、屋外環境によって錆が発生します。特に切断面、溶接部、研磨部は錆びやすいため、早めの塗装や防錆処理が必要です。


また、黒皮が残った状態では、塗装密着性や溶接品質に影響する場合があります。


◆外観や塗装品質を重視する場合は、表面処理の有無を事前に確認することが大切です。



■図面指示で注意すべきこと


図面では、材質を「SPHC」と明記し、板厚、表面処理、塗装仕様、メッキ仕様を指定します。


例えば、「SPHC t3.2 黒塗装」「SPHC t4.5 粉体塗装」「SPHC ショット後塗装」など、最終仕上げまで明確にすると加工業者との認識違いを防ぎやすくなります。


外観部品では、黒皮の可否、傷、打痕、錆、塗装下地処理の条件も確認しておくことが重要です。



■まとめ


SPHCは、熱間圧延鋼板を表す代表的な鉄系材料です。コスト、加工性、溶接性、入手性に優れ、架台、ブラケット、補強板、ベースプレート、機械構造部品などに広く使われます。


一方で、表面には黒皮や酸化スケールが残る場合があり、SPCCほど外観品質や板厚精度は高くありません。また、錆びやすいため、塗装、メッキ、防錆処理を前提に設計することが重要です。


SPHCは、外観よりも強度・コスト・加工性を重視する部品に適した汎用鋼板です。使用環境、表面処理、塗装条件、必要精度を明確にすることで、品質とコストのバランスを取りやすくなります。

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