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Shot Peening

ショットピーニング

ショットピーニングとは、金属表面に小さな鋼球・セラミック球・ガラスビーズなどの粒子を高速で衝突させ、表面に圧縮残留応力を与える表面改質処理です。


サンドブラストと似たように粒子を吹き付ける処理ですが、目的が異なります。サンドブラストは主に錆除去・梨地仕上げ・塗装前処理などを目的とするのに対し、ショットピーニングは金属表面をたたいて強化し、疲労強度や耐久性を高めることを目的とします。


金属部品は、繰り返し荷重や振動を受けると、表面の微小な傷や応力集中部を起点として疲労クラックが発生することがあります。ショットピーニングを行うことで、表面に圧縮残留応力を付与し、クラックの発生や進展を抑えやすくなります。


そのため、ばね、ギア、シャフト、航空機部品、自動車部品、金型、溶接部など、疲労強度が重要な部品に広く使われています。



■ショットピーニングの主な目的

目的

内容

主な効果

疲労強度向上

表面に圧縮残留応力を与える

クラック発生を抑える

耐久性向上

繰り返し荷重に強くする

部品寿命を延ばす

応力腐食割れ対策

表面の引張応力を低減する

腐食環境での割れを抑える

表面硬化

表面を加工硬化させる

摩耗や傷に強くなる

溶接部の強化

溶接止端部の応力状態を改善する

疲労割れを抑える

ショットピーニングは、部品の外観を整えるためだけの処理ではなく、金属疲労や割れを防ぐための機能的な表面改質処理です。



■ショットピーニングの基本原理

項目

内容

処理方法

小さな粒子を高速で金属表面に衝突させる

表面変化

表面が微小に塑性変形する

主な効果

圧縮残留応力の付与、加工硬化

目的

疲労強度・耐久性・耐応力腐食性の向上

対象材料

鉄鋼、ステンレス、アルミ、チタン、ばね鋼など

粒子が金属表面に当たると、表面に小さなくぼみができます。このとき、表面層は塑性変形し、周囲から押し込まれるような圧縮応力が残ります。金属疲労やクラックは引張応力によって進展しやすいため、表面を圧縮状態にしておくことで、割れの発生を抑えやすくなります。



■ショットピーニングで使用されるメディア

メディア

特徴

主な用途

スチールショット

衝撃力が高く、一般的に多く使われる

鉄鋼部品、ばね、ギア

カットワイヤー

粒径がそろいやすく安定処理に向く

高品質ばね、精密部品

ガラスビーズ

比較的やわらかく、表面を傷めにくい

ステンレス、アルミ、軽処理

セラミックビーズ

耐久性があり、非鉄金属にも使いやすい

航空機部品、チタン、アルミ

ステンレスショット

錆の付着を避けたい場合に使う

ステンレス部品、外観部品

メディアの材質、粒径、硬度、形状によって、処理効果や表面粗さが変わります。強い圧縮応力を与えたい場合と、表面粗さを抑えたい場合では、選ぶメディアが異なります。



■ショットピーニングの主な種類

種類

特徴

主な用途

エア式ショットピーニング

圧縮空気でメディアを吹き付ける

小物部品、局部処理、精密部品

インペラー式ショットピーニング

羽根車でメディアを高速投射する

量産部品、大型部品

ウェットピーニング

水とメディアを混ぜて投射する

精密部品、薄物、表面粗さ抑制

レーザーピーニング

レーザー衝撃波で圧縮応力を付与する

航空・原子力・高機能部品

微粒子ピーニング

微細粒子で表面を改質する

金型、工具、精密摺動部品

一般的な工業部品では、エア式やインペラー式が多く使われます。高精度部品や特殊用途では、ウェットピーニングやレーザーピーニングが検討されることもあります。



■ショットピーニングのメリット


ショットピーニングの最大のメリットは、部品の疲労寿命を延ばせることです。


  • 繰り返し荷重を受ける部品では、表面からクラックが発生しやすいため、表面に圧縮残留応力を与えることで、割れの発生や進展を抑える効果が期待できます。


  • 表面層が加工硬化するため、摩耗や微小な傷に対する耐性が向上する場合があります。ばねやギアのように、接触や繰り返し応力を受ける部品では、耐久性向上に有効です。


  • 溶接部の止端部にショットピーニングを行うことで、溶接による引張残留応力を緩和し、疲労割れを抑えることもあります。構造物やフレーム部品の信頼性向上にも役立ちます。



■ショットピーニングの注意点


  • ショットピーニングでは、処理条件を適切に管理しないと、表面粗さが大きくなったり、寸法精度に影響したりする場合があります。精密な摺動面、シール面、測定基準面、外観面では、処理範囲やマスキングを明確にすることが重要です。


  • 処理が弱すぎると十分な圧縮残留応力が得られず、強すぎると表面が荒れたり、薄肉部品が変形したりすることがあります。メディアの粒径、投射圧力、処理時間、カバレージを管理する必要があります。


  • ショットピーニング後に研磨や切削で表面層を削ってしまうと、付与した圧縮残留応力が失われる場合があります。後加工の有無を考慮して工程順序を設計することが重要です。



■ショットピーニングとサンドブラストの違い

比較項目

ショットピーニング

サンドブラスト

主な目的

疲労強度向上、表面改質

錆除去、梨地仕上げ、粗面化

処理効果

圧縮残留応力を付与する

表面を削る・清掃する

管理項目

投射強度、カバレージ、残留応力

粗さ、清浄度、外観

使用部品

ばね、ギア、シャフト、航空部品

塗装前部品、外装品、鋳物

品質目的

機械的性質の向上

表面状態の調整

見た目は似ていますが、ショットピーニングは強度向上を狙う処理であり、サンドブラストは清掃や外観調整を目的とする処理です。図面指定では混同しないよう注意が必要です。



■ショットピーニングが使われる部品

分野

使用例

自動車部品

ギア、ばね、シャフト、クランク部品

航空機部品

タービン部品、脚部品、チタン部品

産業機械

軸、ピン、歯車、搬送部品

金型・工具

パンチ、ダイ、成形金型、切削工具

溶接構造物

溶接止端部、フレーム、ブラケット

ばね部品

コイルばね、板ばね、トーションバー

ショットピーニングは、繰り返し荷重を受ける部品や、疲労破壊が問題になる部品に多く使われます。特にばねやギアでは、寿命向上のための代表的な処理です。



■ショットピーニング指定時のポイント

指定項目

確認内容

処理目的

疲労強度向上、応力腐食割れ対策、表面硬化など

メディア種類

スチール、ガラス、セラミックなど

粒径

表面粗さや処理深さに影響する

投射強度

アルメン値などで管理する

カバレージ

表面をどの程度均一に処理するか

処理範囲

全面処理か、局部処理か

後加工

研磨・切削で処理層を削らないか確認する

図面では、「ショットピーニング処理」「Shot Peening」「指定範囲ショットピーニング」などと記載されます。疲労強度を保証したい場合は、処理条件や検査基準を明確にすることが重要です。



■SEO向けまとめ


ショットピーニングとは、金属表面に小さな粒子を高速で衝突させ、圧縮残留応力を付与する表面改質処理です。ばね、ギア、シャフト、航空機部品、自動車部品、溶接部などに使用され、疲労強度、耐久性、耐応力腐食性の向上に効果があります。


サンドブラストが錆除去や梨地仕上げを目的とするのに対し、ショットピーニングは金属表面を強化することが主目的です。


高品質な処理を行うには、メディア種類、粒径、投射強度、カバレージ、処理範囲、後加工の有無を適切に管理することが重要です。

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