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Relief Hole

逃がし穴

逃がし穴とは、板金加工や機械加工、組立設計において、部品同士の干渉、曲げ時の割れ、応力集中、工具干渉などを避けるために設ける穴のことです。


「逃げ穴」「リリーフ穴」と呼ばれることもあり、曲げ線の近く、角部、切欠き部、溶接部、ボルト周辺、工具が当たる箇所などに設けられます。


逃がし穴は、製品の機能を直接担う穴というよりも、加工しやすくする、割れを防ぐ、組立時に干渉を避けるための設計上の工夫です。



■逃がし穴が必要な理由


逃がし穴が必要な理由は、材料や部品に無理な力が集中するのを防ぐためです。


板金を曲げる場合、曲げ線の近くに切欠きや角形状があると、その角部に応力が集中し、割れや変形が発生することがあります。逃がし穴を設けることで、応力を分散し、加工時の破損を防ぎやすくなります。


また、部品同士を組み合わせる際に、ねじ頭、溶接ビード、曲げR、工具、突起部などが干渉する場合があります。


◆逃がし穴を設けることで、組立時の当たりを避け、スムーズに取り付けできるようになります。



■板金曲げにおける逃がし穴


板金曲げでは、曲げ線の近くに逃がし穴を設けることがあります。


曲げ加工では、材料が曲げ方向に引っ張られたり圧縮されたりします。角部や切欠きが曲げ線に近いと、そこから割れが発生しやすくなります。


特に、箱曲げ、コの字曲げ、段曲げ、ヘミング曲げなどでは、曲げ同士が近接する部分に材料の逃げ場が必要になることがあります。


◆逃がし穴を設けることで、材料の変形を吸収し、曲げ割れやしわを抑えやすくなります。



■逃がし穴と割れ防止


逃がし穴は、割れ防止に有効です。

鋭い角や切欠きは、応力集中が起こりやすい部分です。加工中や使用中に力がかかると、その角部を起点にクラックが入ることがあります。


角部に丸穴を設けることで、応力を分散し、割れの発生を抑えられます。

特にステンレス、アルミ、ばね材、高張力材など、材料によっては割れに注意が必要な場合があります。


◆逃がし穴は、加工時だけでなく、製品使用中の疲労破壊やクラック対策としても有効です。



■逃がし穴と工具干渉


逃がし穴は、工具干渉を避ける目的でも使われます。


切削加工や板金加工では、工具や金型が部品の一部に当たって加工できない場合があります。曲げ加工では、先に曲げた部分が金型に干渉することもあります。


逃がし穴や逃げ形状を設けることで、工具の通り道や金型の逃げを確保できます。


これにより、

◆加工順序の自由度が上がり、無理な加工を避けることができます。



■逃がし穴と組立性


逃がし穴は、組立性を高めるためにも重要です。


部品を組み付ける際、相手部品の突起、溶接ビード、ナット、ボルト頭、リベット、バーリング部、エンボス部などが干渉することがあります。逃がし穴を設けることで、これらの形状を避けて部品を正しく取り付けられます。


また、位置決め時に少し余裕を持たせたい場合にも、逃がし穴が有効です。


◆組立作業がスムーズになり、現場での手直しや追加加工を減らせます。



■逃がし穴と溶接


溶接部品では、逃がし穴が役立つ場合があります。


溶接ビードは、設計上の板厚や部品外形よりも盛り上がることがあります。このビードが相手部品に干渉すると、部品が浮いたり、隙間ができたりします。


逃がし穴や逃げ加工を設けることで、溶接ビードを避けながら部品を密着させることができます。


また、溶接時の熱歪みを逃がすために、形状設計として逃げを設ける場合もあります。



■逃がし穴の形状


逃がし穴の形状には、丸穴、長穴、角丸穴、U字形状、切欠き形状などがあります。


割れ防止を目的とする場合は、丸穴や角丸形状が有効です。角が鋭い四角穴は応力集中が起こりやすいため、角部にRを付けることが望ましいです。


工具や相手部品を避ける目的では、干渉する形状に合わせて長穴や切欠きを使うことがあります。


ただし、

◆穴を大きくしすぎると部品強度が低下するため、必要最小限の寸法にすることが重要です。



■逃がし穴の設計ポイント


逃がし穴を設計する際は、まず何を逃がすのかを明確にすることが重要です。


  • 曲げ割れを防ぐためなのか

  • 工具干渉を避けるためなのか

  • 溶接ビードを逃がすためなのか

  • 相手部品との干渉を避けるためなのか

    によって、必要な穴径や位置が変わります。


また、逃がし穴を設けることで部品の強度が下がる場合があります。


◆特に荷重がかかる部位では、穴の大きさ、位置、周辺肉厚を確認する必要があります。



■逃がし穴の注意点


逃がし穴では、穴を大きくしすぎないことが重要です。


大きな逃がし穴を設けると、確かに干渉は避けやすくなりますが、部品剛性や強度が低下する可能性があります。また、外観部品では穴が見えてしまい、見た目に影響する場合があります。


さらに、曲げ線や端面に近すぎる逃がし穴は、加工時に変形したり、穴形状が崩れたりすることがあります。逃がし穴の位置は、曲げR、板厚、加工方法を考慮して決める必要があります。




■図面指示で注意すべきこと


図面では、逃がし穴の目的、穴径、位置、形状、必要なRを明確に指定します。


特に組立干渉を避けるための逃がし穴では、相手部品との関係がわかるように指示することが大切です。


単に穴を描くだけでなく、「溶接ビード逃げ」「曲げ逃げ」「工具逃げ」「相手部品逃げ」などの注記を入れると、加工意図が伝わりやすくなります。


また、角部の割れ防止を目的とする場合は、角Rや丸穴径を指定しておくと品質が安定します。



■依頼時に確認すべきこと


逃がし穴を含む部品を依頼する際は、材質、板厚、曲げ位置、相手部品、後工程の有無を確認します。


特に、曲げ加工、溶接、組立がある部品では、逃がし穴の有無が加工性や組立性に大きく影響します。加工業者に完成形状や組立状態を共有すると、より適切な逃がし穴を提案してもらいやすくなります。


試作段階では、実際に組み付けて干渉がないか確認し、必要に応じて逃がし穴の位置やサイズを調整することも重要です。



■まとめ


逃がし穴とは、曲げ加工、溶接、切削加工、組立時に発生する干渉や応力集中を避けるために設ける穴です。


主な目的は、曲げ割れの防止、工具干渉の回避、溶接ビードの逃げ、相手部品との干渉防止、組立性の向上です。


逃がし穴は小さな設計要素ですが、加工不良や組立トラブルを防ぐうえで非常に重要です。材質、板厚、曲げR、相手部品、後工程を考慮し、必要最小限かつ効果的な位置に設けることで、品質と加工性を高めることができます。

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