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Pilot Pin

パイロットピン

パイロットピンとは、プレス加工や金型加工において、材料やワークの位置を正確に合わせるために使用する位置決め用のピンです。


特に順送プレス金型では、材料が一定ピッチで送られながら複数工程を順番に加工されます。その際、送り装置だけではわずかな位置ズレが発生することがあります。

パイロットピンは、あらかじめ加工された下穴やパイロット穴に入り込み、材料位置を正確に補正します。


穴あけ、抜き加工、曲げ加工、成形加工などで、工程間の位置精度を安定させる重要な金型部品です。



■パイロットピンの基本情報


項目

内容

加工分類

プレス金型部品・位置決め部品

英語表記

Pilot Pin / Locating Pilot Pin

主な役割

材料位置決め、送りズレ補正、工程間精度の安定

使用箇所

順送金型、単発金型、組立治具、検査治具

関連部品

パンチ、ダイ、ストリッパー、フィーダー、ガイドピン

主な材質

SKD11、SKH51、超硬合金、S45Cなど

注意点

摩耗、折損、穴径公差、芯ズレ、かじり


■パイロットピンの仕組み


パイロットピンは、材料に設けたパイロット穴や基準穴に差し込まれることで、材料の位置を補正します。


順送プレスでは、フィーダーによって材料が一定量ずつ送られますが、送り精度にはわずかな誤差があります。

そのまま加工すると、前工程と後工程の位置がずれ、穴位置不良や外形ズレが発生します。


パイロットピンが穴に入り込むことで、材料の位置を正しい基準位置へ合わせ、各工程の加工位置を安定させます。



■パイロットピンの役割


パイロットピンの主な役割は、材料送りのズレを補正し、加工位置を正確に保つことです。


順送金型では、複数の工程が連続して行われるため、1工程ごとの位置ズレが累積すると製品不良につながります。


パイロットピンを使うことで、各ステーションで材料の基準位置を再確認でき、穴、外形、曲げ、成形の位置関係を安定させられます。


特に端子、接点、精密板金部品、コネクタ部品など、高いピッチ精度や穴位置精度が必要な部品では重要です。



■パイロットピンの主な種類



種類

内容

ストレートパイロットピン

まっすぐな円柱形状で、標準的な位置決めに使用

テーパーパイロットピン

先端にテーパーがあり、穴へ入りやすい形状

段付きパイロットピン

位置決め部と取付部で径が異なるタイプ

可動式パイロットピン

スプリングなどで動作し、材料への衝撃を抑えるタイプ

超硬パイロットピン

摩耗に強く、量産や硬質材加工に使用


■パイロットピンのメリット


メリット

内容

位置精度が安定する

材料送りの微小なズレを補正できる

工程間ズレを抑えられる

穴、外形、曲げ、成形の位置関係を安定させる

順送加工に有効

多工程の連続加工で品質を維持しやすい

不良率を低減できる

穴ズレ、ピッチズレ、外形ズレを防ぎやすい

高精度部品に対応しやすい

端子・接点・精密プレス品に適する


■パイロットピンのデメリット


パイロットピンは位置精度を高める重要部品ですが、設計や管理が不適切だと不良の原因になります。


パイロット穴径が小さすぎる  → ピンが入りにくくなり、材料変形やピン折損が発生します。


     穴径が大きすぎる  → 位置決め効果が弱くなり、加工位置が安定しません。


パイロットピンが摩耗する   → 位置決め精度が低下します。


◆先端の欠け、曲がり、摩耗を定期的に確認することが重要です。



■パイロットピンが使われる主な用途


分野

主な用途

順送プレス

端子、接点、コネクタ部品、精密金具

板金加工

穴位置基準、外形抜き前の位置決め

自動車部品

ブラケット、補強部品、薄板プレス部品

電気・電子

リードフレーム、シールド部品、接点部品

組立治具

ワークの位置決め、部品セット基準

検査治具

穴位置確認、製品セット、基準位置決め


■パイロットピンと位置決めピンの違い


項目

パイロットピン

位置決めピン

主な用途

プレス金型内の材料位置補正

治具・装置・部品組立の位置決め

使用場面

順送金型、プレス加工

組立治具、検査治具、機械部品

対象

板材、フープ材、ワーク

部品、治具、プレート

役割

送りズレ補正、工程間精度確保

固定位置の再現、組立精度確保

動作

金型動作に合わせて穴へ入る

固定または着脱して使用


■パイロットピンとフィーダーの関係


フィーダーは、材料を一定ピッチで送る装置です。順送プレスでは、フィーダーによって材料が次工程へ送られます。

ただし、フィーダーだけでは材料の伸び、滑り、送り誤差、材料テンションの変動によって微小なズレが発生することがあります。


パイロットピンは、そのズレを金型内で最終補正する役割を持ちます。


つまり、

◆フィーダーが「材料を送る装置」、パイロットピンが「材料位置を最終的に決める部品」といえます。



■パイロットピンで発生しやすい不良


パイロットピンに関係する不良には、穴位置ズレ、ピッチズレ、材料変形、ピン折損、ピン摩耗、かじり、穴の広がり、打痕があります。


パイロットピンの先端形状が不適切だと、穴にうまく入らず、材料を押して変形させる場合があります。また、材料送り量が大きくずれていると、ピンが穴に入らず、折損や金型破損につながることがあります。


◆量産中は、ピンの摩耗や穴の状態を確認し、送り装置や金型の異常を早期に発見することが重要です。



■パイロットピンの注意点


パイロットピンでは、ピン径、穴径、先端形状、材質、挿入タイミング、逃げ設計が重要です。


ピンと穴のすき間が大きすぎると位置決め精度が低下し、小さすぎると挿入不良やかじりが起こります。加工材の板厚、材質、ピッチ精度、必要公差に応じた設計が必要です。


また、パイロットピンが材料に入る前に、材料が適切な位置まで送られていることが前提です。送り精度が極端に悪い場合は、パイロットピンだけでは補正しきれません。



■図面・金型設計で注意すべきこと


金型設計では、パイロット穴の位置、穴径、公差、ピン径、ピン先端R、テーパー角、挿入深さを明確にします。


順送金型では、どの工程でパイロット穴をあけ、どの工程で位置決めに使うかを設計段階で整理することが重要です。


また、材料のバリ方向や穴のだれ方向によって、ピンの入りやすさが変わります。高精度部品では、パイロット穴の品質管理も重要なポイントです。



■まとめ


パイロットピンとは、プレス加工や順送金型で材料位置を正確に合わせるための位置決めピンです。材料送りの微小なズレを補正し、穴位置、外形、曲げ、成形の工程間精度を安定させます。


特に、端子、接点、コネクタ部品、精密プレス部品のように高い位置精度が求められる加工で重要です。


一方で、ピン径、穴径、摩耗、送りズレ、先端形状が不適切だと、材料変形やピン折損の原因になります。高品質な順送加工を行うには、パイロットピンとパイロット穴の設計、送り装置の精度、金型メンテナンスを適切に管理することが重要です。

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