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Overtaking Cutting

追い抜き加工


追い抜き加工とは、レーザー加工や板金切断において、部品の配置や切断順序を工夫し、効率よく加工を進める方法です。


通常は1つの部品を切り終えてから次の部品へ移動しますが、部品数が多い場合やネスティングされた板材では、加工ヘッドの移動距離が長くなり、空走時間が増えます。追い抜き加工では、近い切断線を優先したり、共通線を活用したり、熱影響を考慮して順序を調整したりすることで、無駄な動きを減らします。


追い抜き加工は、単に速く切るための方法ではなく、加工時間、材料歩留まり、熱変形、品質を総合的に最適化するための加工順序設計です。



■追い抜き加工の目的


・追い抜き加工の目的は、加工時間を短縮し、材料ロスを減らしながら、安定した切断品質を確保することです。


・レーザー加工では、切断している時間だけでなく、加工ヘッドが次の切断位置へ移動する空走時間や、ピアシングにかかる時間も加工コストに影響します。切断順序が悪いと、同じ形状でも加工時間が長くなり、熱が一部に集中して反りや歪みが出る場合があります。


◆追い抜き加工は、加工効率を高めるだけでなく、熱影響や部品の安定性まで考慮して、品質とコストのバランスを取るために重要です。



■ネスティングとの関係


・追い抜き加工は、ネスティングと組み合わせて考える必要があります。


・ネスティングは、1枚の板材に複数の部品を効率よく配置する工程です。しかし、部品をうまく配置しても、切断順序が不適切だと、加工時間が長くなったり、部品が途中で落下したり、熱変形が発生したりする可能性があります。


・ネスティングが「部品をどう配置するか」を決める工程であるのに対し、追い抜き加工は「どの順番で切るか」を最適化する考え方です。


◆両方を組み合わせることで、材料歩留まりと加工効率を高められます。



■共通線切断との関係


・追い抜き加工では、共通線切断を活用する場合があります。


・共通線切断とは、隣り合う部品の輪郭線を共有し、1回の切断で2つの部品の端面を作る方法です。通常は部品ごとに外形を切断しますが、共通線を使うことで切断距離を短くでき、材料の隙間も減らせます。


・共通線切断を取り入れた追い抜き加工は、加工時間と材料ロスの削減に有効です。


ただし、

◆寸法精度、切断面品質、熱影響に注意が必要です。



■加工時間短縮への効果


・追い抜き加工は、加工時間の短縮に効果があります。


複数部品を加工する場合、切断順序が悪いと、加工ヘッドが板材上を何度も大きく移動します。追い抜き加工では、近い位置の加工を効率よくつなぎ、空走距離を減らします。また、ピアシング位置やリードインを適切に設定することで、切断開始時の無駄も減らせます。


◆追い抜き加工は、量産品や部品点数の多い案件で特に有効です。わずかな時間短縮でも、数量が増えるほど大きなコスト削減につながります。



■材料歩留まりへの効果


・追い抜き加工は、材料歩留まりの向上にも関係します。


・部品同士の配置や共通線切断を工夫することで、板材の余白やスクラップを減らせます。特にステンレス、アルミ、銅など材料単価が高い素材では、歩留まり改善が加工単価に大きく影響します。


・追い抜き加工は、材料費の削減にも有効です。


ただし、

◆部品間隔を詰めすぎると熱変形やスパッタ付着が起きるため、品質を保てる範囲で配置することが重要です。



■熱変形への対応


・追い抜き加工では、熱変形を抑えるために切断順序を工夫します。


・レーザー加工は熱を利用する加工のため、同じ場所を連続して切断すると熱が集中し、反りや歪みが発生しやすくなります。特に薄板、細長い部品、小物部品では、熱影響によって寸法精度や外観品質が低下する場合があります。


◆追い抜き加工では、離れた場所を交互に加工する、外形を最後に切る、必要に応じて微小ジョイントを設けるなど、熱を分散させる工夫が重要です。



■ピアシングとの関係


・追い抜き加工では、ピアシング位置とピアシング回数も重要な管理項目です。


・ピアシングとは、レーザー切断の開始時に材料へ小さな穴をあける工程です。ピアシング時にはスパッタや熱影響が発生するため、製品面に近い位置で行うと外観不良の原因になります。また、穴数が多い部品ではピアシング回数が増え、加工時間も長くなります。


◆追い抜き加工では、ピアシングをスクラップ側や不要部分に逃がし、加工品質と加工時間の両方を最適化することが重要です。



■リードインとの関係


・追い抜き加工では、リードインの位置や長さも適切に設定します。


・リードインとは、ピアシング後に製品輪郭へ入るための導入線です。切断開始直後は加工が安定しにくいため、いきなり製品面に入ると切断面に乱れや傷が残ることがあります。


・リードインをスクラップ側に設定することで、ピアシング痕や切断開始時の乱れを製品面に残しにくくできます。


◆追い抜き加工では、切断順序だけでなく、リードインの配置も品質確保に重要です。



■小物部品への対応


・小物部品では、追い抜き加工時に部品の落下や傾きに注意します。


・小さな部品は、外形を切り終えると板材から外れて下に落ちたり、傾いたりする場合があります。その状態で加工を続けると、加工ヘッドやノズルと干渉するリスクがあります。また、部品が動くことで寸法不良や切断不良が発生することもあります。


◆小物部品では、外形を最後に切る、微小ジョイントやタブを設ける、切断順序を分散するなどの工夫が必要です。



■外観部品への対応


・外観部品では、ピアシング痕、スパッタ、焼け、傷に注意して追い抜き加工を行います。


・ステンレスカバー、装置パネル、化粧部品などでは、切断面だけでなく表面の美観も重要です。加工効率を優先して部品間隔を詰めすぎると、ピアシング時のスパッタが隣の部品に付着する場合があります。また、ヘアライン材では材料方向の指定も重要です。


◆外観部品では、効率よりも品質を優先し、部品間隔、ピアシング位置、リードイン、表裏指定、ヘアライン方向を事前に確認することが重要です。



■追い抜き加工のメリット


・追い抜き加工には、加工時間短縮、材料費削減、段取り効率向上、熱変形抑制といったメリットがあります。


・切断順序を最適化することで、加工ヘッドの移動距離を減らし、共通線切断によって切断距離や材料ロスを減らせます。また、熱が集中しないように加工順序を分散すれば、反りや歪みを抑えることもできます。


・追い抜き加工は、効率化と品質安定を両立させるための有効な加工方法です。


◆特にレーザー加工や板金加工で、多品種少量生産・量産のどちらにも活用できます。



■追い抜き加工の注意点


・追い抜き加工では、効率を優先しすぎないことが重要です。


・加工時間を短縮するために部品間隔を狭くしすぎると、熱変形、スパッタ付着、ドロス、バリ、外観不良が発生する可能性があります。また、共通線切断では、切断幅や熱影響が両側の部品に影響するため、高精度部品では注意が必要です。


◆追い抜き加工は、速さだけでなく、寸法精度、切断面品質、外観品質、後工程への影響を考慮して採用する必要があります。



■依頼時に確認すべきこと


・追い抜き加工を前提に依頼する場合は、材質、板厚、数量、外観要求、寸法公差、後工程の有無を明確に伝えます。


・同じ材質・板厚の部品をまとめて依頼すると、ネスティングや追い抜き加工の効果を出しやすくなります。一方で、外観面、ヘアライン方向、ピアシング痕の可否、共通線切断の可否、微小ジョイントの可否を伝えないと、仕上がりに認識違いが出る場合があります。


◆加工依頼時には、単に図面を渡すだけでなく、使用用途、外観面、後工程、許容品質を共有することが、追い抜き加工を効果的に活用するポイントです。



■まとめ


・追い抜き加工は、レーザー加工や板金切断において、切断順序や加工経路を最適化する加工方法です。


・ネスティング、共通線切断、ピアシング、リードイン、熱変形対策と深く関係し、加工時間、材料歩留まり、品質、コストに大きく影響します。


・追い抜き加工は、製造現場の効率化に有効な技術です。ただし、効率だけを追求すると品質不良につながる可能性があるため、材料、板厚、形状、外観要求、後工程を踏まえて、品質とコストのバランスを取ることが重要です。

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