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Offset Bending

段曲げ

段曲げとは、板金に段差を付ける曲げ加工のことです。平らな板材の一部を上下方向にずらし、段差形状やオフセット形状を作ります。


通常の曲げ加工が板材を一定角度に曲げる加工であるのに対し、段曲げは「一段上げる」「一段下げる」ような形状を作る点が特徴です。板金部品の高さ調整、部品同士の干渉回避、重ね合わせ部の逃げ、補強、位置決めなどに使われます。


機械カバー、ブラケット、装置パネル、制御盤部品、筐体、取付プレート、金具類など、幅広い板金部品で使用される実用的な加工方法です。



■段曲げの仕組み


段曲げでは、プレスブレーキや専用金型を使って、板材を2回以上曲げることで段差を形成します。一般的には、上方向または下方向へ曲げた後、再度逆方向に曲げることで、板材の面を平行に保ったまま高さを変えます。


例えば、Z形状のように曲げることで、元の面と段差後の面を平行にできます。このような形状は「Z曲げ」「オフセット曲げ」と呼ばれることもあります。


段曲げの精度は、曲げ角度、曲げ順序、金型形状、板厚、材質、曲げ位置によって変わります。特に段差高さが小さい場合や、曲げ同士の距離が近い場合は、金型干渉や寸法ばらつきに注意が必要です。



■段曲げの目的


段曲げの主な目的は、板金部品に高さの違いを作り、組立性や機能性を高めることです。


部品を取り付ける際、相手部品との高さを合わせたい場合や、ねじ頭、ナット、溶接部、ケーブル、他部品を避けたい場合に段曲げが使われます。板材を切削したり、スペーサーを追加したりせずに、高さ調整ができる点が大きな利点です。


また、段差形状によって部品の剛性を高めることもできます。


平板のままではたわみやすい部品でも、段曲げを入れることでリブのような補強効果が得られる場合があります。



■段曲げの主な用途


段曲げは、ブラケット、取付金具、装置カバー、筐体パネル、制御盤部品、ベースプレート、シャーシ部品、機械装置部品などに使用されます。


代表的な用途としては、部品同士の高さ合わせ、干渉回避、重ね合わせ部の逃げ、取付面の調整、補強、デザイン上の段差形成などがあります。


例えば、カバー部品で相手部品と面をそろえたい場合、段曲げによって取付面だけを一段下げることがあります。また、ブラケットでは、ボルト締結部の高さを合わせるために段曲げを使うことがあります。



■段曲げのメリット


段曲げのメリットは、板材だけで高さ調整や逃げ形状を作れることです。スペーサーや別部品を追加せずに形状で機能を持たせられるため、部品点数削減や軽量化につながります。


また、追加部品を使わないため、組立工数や管理部品数を減らせます。溶接やねじ止めによる固定部品を減らせる場合もあり、コストダウンに有効です。


さらに、段差形状によって剛性を高められる場合があります。平板に段曲げを入れることで、曲げ方向に対する強度が増し、たわみや振動を抑えやすくなります。



■段曲げとZ曲げの関係


段曲げの代表的な形状がZ曲げです。Z曲げとは、板材を一方向に曲げた後、反対方向に曲げて、断面がZ形状になるように加工する方法です。


Z曲げでは、元の面と曲げ後の面をほぼ平行に保ちながら、高さだけをずらすことができます。そのため、取付面の高さ調整や部品同士の逃げに適しています。


一般的に、段曲げは広い意味で段差を作る曲げ加工を指し、Z曲げはその代表的な形状の一つと考えられます。



■段曲げに適した材料


段曲げは、鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮などの板材に対応できます。ただし、材質によって曲げやすさやスプリングバックの大きさが異なります。


鉄は比較的加工しやすく、一般的な板金部品で多く使用されます。ステンレスは強度が高く、スプリングバックが大きいため、曲げ角度や寸法補正に注意が必要です。


アルミは軽量で加工しやすい一方、材質によっては割れやすく、曲げ方向や曲げ半径の設定が重要です。


◆材質ごとの特性を理解し、無理のない曲げ半径と段差寸法を設定することが大切です。



■段曲げと板厚の関係


段曲げでは、板厚と段差高さの関係が重要です。板厚に対して段差高さが小さすぎると、金型が干渉したり、曲げ部がつぶれたりして加工が難しくなります。


また、板厚が厚くなるほど曲げ荷重が大きくなり、必要な金型幅や曲げ半径も大きくなります。段差部分の寸法が小さい場合、標準金型では加工できないこともあります。


段曲げを設計する際は、段差高さ、曲げ間距離、板厚、曲げ半径、金型条件を考慮する必要があります。



■段曲げの注意点


段曲げでは、寸法ばらつき、曲げ干渉、スプリングバック、反りに注意が必要です。複数回曲げを行うため、1か所の曲げ誤差が全体寸法に影響しやすくなります。


また、曲げ同士の距離が近いと、金型が入らなかったり、先に曲げた部分が機械や金型に干渉したりする場合があります。複雑な段曲げ形状では、曲げ順序の検討が重要です。


外観部品では、曲げ傷や押し跡にも注意が必要です。ステンレスやアルミの化粧面では、保護フィルムや曲げ傷対策を検討する必要があります。



■図面指示で注意すべきこと


図面では、段差高さ、曲げ方向、曲げ位置、曲げ角度、基準面を明確に指定することが重要です。


段曲げは、どの面を基準に寸法を測るかによって仕上がりの解釈が変わる場合があります。

特に組立部品では、相手部品と接触する面や取付面を基準として指示すると、加工業者との認識違いを防ぎやすくなります。


必要に応じて、断面図を用いて段差形状を示すとわかりやすくなります。「上方向に段曲げ」「Z曲げ」「段差高さ○mm」などの注記を入れると、加工ミスを防ぎやすくなります。



■依頼時に確認すべきこと


段曲げを依頼する際は、材質、板厚、段差高さ、曲げ方向、数量、寸法公差、外観要求、後工程の有無を確認します。


特に、曲げ後に溶接、塗装、メッキ、組立がある場合は、段差部が干渉しないかを事前に確認する必要があります。


また、段差高さが小さい場合や複雑な曲げ順序が必要な場合は、加工可否を事前に相談することが重要です。

外観部品では、曲げ傷の許容範囲、表裏方向、ヘアライン方向なども明確にしておくと安心です。



■まとめ


段曲げは、板金に段差を作ることで、高さ調整、干渉回避、補強、位置決め、組立性向上を実現する曲げ加工です。代表的な形状にはZ曲げがあり、取付金具、筐体、カバー、ブラケット、制御盤部品など幅広い部品で使われます。


板材だけで機能形状を作れるため、スペーサーや追加部品を減らせる場合があり、コスト削減や軽量化にも有効です。


一方で、段差高さ、板厚、曲げ半径、金型干渉、曲げ順序によって加工可否や精度が変わります。

段曲げを設計する際は、図面上で基準面と曲げ方向を明確にし、加工性と組立性を両立させることが重要です。

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