top of page

Lancing

ランス加工

ランス加工とは、板金に切り込みを入れ、その一部を切り起こして突起・爪・フック・スリット形状を作る加工です。


板材を完全に打ち抜くのではなく、一部を残して起こすことで、別部品を使わずに引っ掛け、位置決め、抜け止め、通気、固定補助などの機能を持たせることができます。


ランス加工は、板金部品に小さな機能形状を追加するための実用的な成形加工です。



■ランス加工の仕組み


・ランス加工では、パンチとダイを使って板材に切れ目を入れ、同時に一部を曲げ起こします。


・通常の抜き加工では材料を完全に切り離しますが、ランス加工では一部を板材につなげたまま変形させます。そのため、材料を切り落とさずに突起や開口部を作れます。


◆ランス加工は、せん断加工と曲げ加工を組み合わせた板金加工です。



■ランス加工の目的


・ランス加工の目的は、板材そのものに固定・位置決め・係止・通気などの機能を持たせることです。


・ねじ、ナット、ブラケット、別部品を追加しなくても、板金の一部を起こすだけで部品を引っ掛けたり、ズレを防いだり、空気の通り道を作ったりできます。


◆ランス加工は、部品点数を減らしながら、板金部品の機能性を高める加工方法です。



■ランス加工の主な用途


・ランス加工は、制御盤、機械カバー、筐体、ブラケット、家電部品、自動車部品、配線固定部品、電子機器ケースなどに使われます。


・これらの部品では、配線や部品を仮固定したり、カバーを引っ掛けたり、組立時の位置決めを行ったりする場面が多くあります。ランス加工を使うことで、簡易的な固定構造を板金一体で作れます。


◆ランス加工は、組立性や固定性が求められる板金部品で多く活用される加工です。



■ランス加工のメリット


・ランス加工には、部品点数削減、コスト削減、軽量化、組立性向上、加工時間短縮といったメリットがあります。


・板金自体を切り起こして機能を作るため、別部品の取付や溶接、ねじ締結を減らせる場合があります。また、金型やタレットパンチプレスで一括加工できれば、量産時の効率も高まります。


◆ランス加工は、シンプルな構造で機能を追加できるため、コストと生産性の面で有効です。



■ランス加工に適した材料


・ランス加工は、鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮などの板材に対応できます。


・ただし、材料の硬さ、伸び、板厚によって加工性は変わります。延性のある材料は起こしやすく、硬い材料や伸びの少ない材料では、割れや曲げ部のクラックが発生する場合があります。


◆ランス加工では、材質・板厚・切り起こし高さ・曲げ角度のバランスを考慮することが重要です。



■ステンレスのランス加工


・ステンレスでもランス加工は可能ですが、加工条件に注意が必要です。


・ステンレスは強度が高く加工硬化しやすいため、切り起こし部に割れやスプリングバックが発生しやすい傾向があります。また、外観部品では金型跡や擦り傷にも注意が必要です。


◆ステンレスのランス加工では、曲げ半径、切り込み形状、加工方向、表面保護を考慮することが大切です。



■アルミのランス加工


・アルミは比較的ランス加工しやすい材料ですが、傷や変形に注意が必要です。


・アルミは柔らかく成形しやすい一方で、押し跡や擦り傷が付きやすい材料です。また、アルミ合金の種類によっては割れやすいものもあります。


◆アルミのランス加工では、成形性だけでなく、外観品質と材料種類を確認することが重要です。



■ランス加工とバーリング加工の違い


・ランス加工は板材の一部を切り起こす加工で、バーリング加工は穴の周囲を筒状に立ち上げる加工です。


・ランス加工は爪、フック、抜け止め、通気口などを作る目的で使われます。一方、バーリング加工は主にタップ下地やねじ締結部を作る目的で使われます。


◆爪や引っ掛け形状を作る場合はランス加工、ねじ部や筒状の立ち上げを作る場合はバーリング加工が適しています。



■ランス加工とルーバー加工の違い


・ランス加工は切り起こし形状全般を指し、ルーバー加工は通気・放熱を目的とした羽根形状の切り起こし加工です。


・ルーバー加工はランス加工の一種と考えられる場合がありますが、主な目的は通気、放熱、目隠しです。ランス加工はそれに加えて、固定爪、係止部、位置決めなど幅広い機能形状に使われます。


■通気口として使う場合はルーバー加工、固定や係止などの機能形状として使う場合はランス加工と整理できます。



■ランス加工の注意点


・ランス加工では、割れ、反り、寸法ばらつき、スプリングバック、引っ掛かり部の強度不足に注意します

・板材を切って起こすため、曲げ部に応力が集中します。形状が小さすぎたり、高く起こしすぎたりすると、根元が割れたり、繰り返し荷重で破損したりする可能性があります。


◆ランス加工では、必要な機能を満たしながら、材料に無理をかけない形状設計が重要です。



■ランス加工と板厚の関係

ランス加工では、板厚によって起こせる高さ、幅、曲げ角度が変わります。


・薄板では起こし部の強度が不足しやすく、厚板では加工荷重が大きくなります。また、板厚に対して細すぎるランス形状は、変形や破損の原因になります。


◆ランス加工では、板厚に応じた幅・長さ・高さ・曲げ半径を設定することが重要です。



■図面指示で注意すべきこと


・図面では、ランスの長さ、幅、高さ、角度、向き、表裏方向、数量を明確に指定します。


・ランス加工は立体形状のため、平面図だけでは起こし方向や高さが伝わりにくい場合があります。方向を間違えると、組立干渉や固定不良の原因になります。


◆ランス加工を依頼する際は、断面図や注記を使い、起こし方向と寸法を明確にすることが重要です。



■依頼時に確認すべきこと


・ランス加工を依頼する際は、材質、板厚、形状寸法、起こし方向、使用目的、外観要求、後工程の有無を確認します。


・固定爪として使うのか、通気口として使うのか、位置決めとして使うのかによって、必要な強度や寸法精度が変わります。また、曲げ、塗装、メッキ、組立時にランス部が干渉する可能性もあります。


◆ランス加工は、単なる切り起こしではなく、使用目的と後工程まで見据えて設計することが大切です。



■まとめ


ランス加工は、板金の一部に切り込みを入れて起こし、爪・フック・位置決め・抜け止め・通気などの機能を作る加工です。


別部品を追加せずに板材そのものへ機能を持たせられるため、部品点数削減、軽量化、組立性向上、コスト削減につながります。


ランス加工は、板金部品に機能を持たせる有効な加工方法です。材質、板厚、起こし高さ、曲げ角度、使用目的を適切に設計することで、品質とコストのバランスを高めることができます。

お見積り・ご相談は今すぐ!

 24時間365日受付 

bottom of page