Hemming
ヘミング曲げ
ヘミング曲げとは、板金の端部を180度近く折り返し、板の端を内側に巻き込むように重ねる曲げ加工です。
単に直角に曲げるのではなく、材料の端部を折りたたむことで、切断面を隠したり、エッジ部を安全にしたり、部品の剛性を高めたりできます。
板金加工では、カバー、筐体、扉、パネル、外装部品、家電部品、自動車部品などでよく使われます。
特に、人が触れる可能性のある端部や、外観品質が求められる部品に有効です。
■ヘミング曲げの仕組み
ヘミング曲げでは、まず板材の端部を一定角度まで曲げ、その後さらに押し込んで端部を折り返します。
一般的には、1回で完全に折り返すのではなく、予備曲げを行ってから、つぶし曲げによって密着またはすき間を持たせた形状に仕上げます。
使用する設備は、プレスブレーキ、専用金型、ロール成形機、プレス機などです。量産品では専用金型を使用することで、安定したヘミング形状を作ることができます。
■ヘミング曲げの目的
ヘミング曲げの主な目的は、板金端部の安全性と外観性を高めることです。
レーザー切断やシャーリングで切断した板端部は、鋭利になりやすく、そのままでは手を切る危険があります。ヘミング曲げで端部を内側に折り返すことで、鋭いエッジを隠し、安全性を向上できます。
また、折り返しによって板端部の厚みが増すため、部品の剛性向上にもつながります。薄板でも端部がしっかりし、たわみや変形を抑えやすくなります。
■ヘミング曲げの主な用途
ヘミング曲げは、機械カバー、制御盤扉、装置パネル、外装カバー、家電筐体、自動車の外板部品、看板、建築金物などに使われます。
これらの部品では、端部の安全性、見た目の美しさ、強度、手触りが重要になります。
特に作業者や使用者が触れる部分では、切断面を露出させない設計が求められます。
■ヘミング曲げのメリット
ヘミング曲げのメリットは、まず安全性を高められることです。鋭利な板端部を折り返すことで、手やケーブルを傷つけにくくなります。
次に、外観品質が向上します。切断面を隠せるため、製品の見た目がきれいになり、高級感や完成度を高められます。
また、端部の剛性が上がるため、薄板でもたわみにくくなります。部品の補強としても有効で、別部品を追加せずに強度を高められる場合があります。
■ヘミング曲げの種類
ヘミング曲げには、完全に密着させる「密着ヘミング」と、少しすき間を残す「オープンヘミング」があります。
密着ヘミングは、端部をしっかり重ねるため、外観性や安全性に優れます。ただし、材料や板厚によっては割れや反りが出る場合があります。
オープンヘミングは、折り返し部にわずかなすき間を残す方法です。材料への負担を抑えやすく、塗装やメッキなどの後工程を考慮する場合にも使われます。
■ヘミング曲げに適した材料
ヘミング曲げは、鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮などの板材に対応できます。ただし、材質によって曲げやすさは異なります。
鉄は比較的加工しやすく、一般的な板金部品で多く使われます。ステンレスは強度が高くスプリングバックが大きいため、曲げ条件や金型選定に注意が必要です。
アルミは柔らかく加工しやすい一方で、材質によっては割れやすく、外観傷にも注意が必要です。
■ヘミング曲げと板厚の関係
ヘミング曲げでは、板厚が重要な設計条件になります。
薄板では比較的折り返しやすいですが、厚板になるほど曲げ荷重が大きくなり、割れや変形が発生しやすくなります。
また、板厚に対して折り返し寸法が短すぎると、きれいに曲がらなかったり、金型にうまくかからなかったりします。
ヘ ミング曲げでは、板厚、材質、曲げ半径、折り返し長さのバランスを考える必要があります。
■ヘミング曲げの注意点
ヘミング曲げでは、割れ、反り、スプリングバック、寸法ばらつきに注意が必要です。
材料を180度近く折り返すため、曲げ部には大きな応力がかかります。硬い材料や伸びの少ない材料では、曲げ外側に割れが発生する場合があります。
また、折り返し部分が厚くなるため、他部品との干渉にも注意が必要です。
組立部品では、ヘミング部の厚みを 考慮してクリアランスを設計する必要があります。
塗装やメッキを行う場合は、折り返し部のすき間に液だまりや処理ムラが発生することもあります。後工程まで見据えた設計が重要です。
■図面指示で注意すべきこと
図面では、ヘミング曲げの方向、折り返し長さ、密着かすき間ありか、曲げ部の外観要求を明確に指定する必要があります。
特に表裏方向を間違えると、外観不良や組立干渉につながります。また、ヘミング部を完全密着させるのか、一定のすき間を残すのかによって加工方法や仕上がりが変わります。
必要に応じて、断面図や注記で「ヘミング曲げ」「端部折り返し」「密着」「すき間指定」などを明記すると、加工業者との認識違いを防ぎやすくなります。
■依頼時に確認すべきこと
ヘミング曲げを依頼する際は、材質、板厚、折り返し寸法、曲げ方向、数量、外観要求、後工程の有無を確認します。
特に、塗装、メッキ、アルマイト、溶接、組立がある場合は、ヘミング部が後工程に影響する可能性があります。外観部品では、曲げ傷、押し跡、エッジの見え方も重要です。
また、板厚や材質によって加工可否が変わるため、設計段階で加工業者に相談すると、割れや寸法不良を防ぎやすくなります。
■まとめ
ヘミング曲げは、板金の端部を折り返して重ねることで、安全性、外観性、剛性を高める加工です。切断面を隠せるため、人が触れる部品や外観部品に適しています。
主な用途は、機械カバー、制御盤、装置パネル、家電部品、自動車部品、建築金物などです。薄板でも端部を補強でき、部品の完成度を高められる点が大きなメリットです。
一方で、材質、板厚、曲げ方向、折り返し長さ、後工程によって加工性が変わります。ヘミング曲げを成功させるには、設計段階から加工限界と組立条件を考慮することが重要です。
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