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Fiber Laser Cutting

ファイバーレーザー加工

ファイバーレーザー加工とは、光ファイバーを利用して発振・伝送された高密度のレーザー光を材料に照射し、金属などを切断・穴あけ・マーキングする加工方法です。特に板金加工や精密部品加工の分野で広く使用されており、ステンレス、鉄、アルミ、銅、真鍮など、さまざまな金属材料に対応できます。


従来のCO2レーザー加工に比べてエネルギー効率が高く、ビーム品質に優れるため、薄板から中厚板まで高速かつ高精度な加工が可能です。近年では、板金工場、機械部品メーカー、筐体製作、建築金物、自動車部品、医療機器部品など、幅広い製造現場で導入が進んでいます。


ファイバーレーザー加工の大きな特徴は、非接触で加工できる点です。刃物を材料に直接当てないため、工具摩耗がなく、複雑な形状や細かな輪郭も安定して加工できます。そのため、試作から量産まで対応しやすく、多品種少量生産にも適した加工方法といえます。


■ファイバーレーザー加工の仕組み


ファイバーレーザー加工では、レーザー発振器で発生させた光を光ファイバー内で増幅し、加工ヘッドから材料表面に集光します。集光されたレーザー光は非常に高いエネルギー密度を持ち、照射部分の金属を瞬時に溶融・蒸発させます。


切断加工の場合は、レーザー光と同時にアシストガスを吹き付けます。アシストガスには、酸素、窒素、空気などが使われ、溶けた金属を吹き飛ばしたり、酸化反応を利用して切断を促進したりします。


酸素を使用すると鉄系材料の切断速度を高めやすく、窒素を使用すると酸化を抑えたきれいな切断面が得られます。ステンレスやアルミなど、外観品質や後工程を重視する材料では、窒素切断が選ばれることも多くあります。


このように、ファイバーレーザー加工は「レーザー出力」「焦点位置」「加工速度」「アシストガス」「材料の種類・板厚」などを最適に組み合わせることで、高品質な加工を実現します。


■ファイバーレーザー加工の特徴


ファイバーレーザー加工の特徴は、高速性、高精度、省エネルギー性にあります。レーザー光の集光性が高いため、狭い範囲に大きなエネルギーを集中でき、細い切断幅で加工できます。


切断幅が狭いということは、材料ロスを抑えやすいということでもあります。複数の部品を1枚の板材から効率よく切り出すネスティング加工にも適しており、材料歩留まりの向上に貢献します。


また、加工ヘッドと材料が接触しないため、工具交換や刃物摩耗による品質変動が少なく、安定した連続加工が可能です。機械的な力を加えにくいため、薄板や細長い形状、変形しやすい部品の加工にも向いています。


さらに、ファイバーレーザーは電気からレーザー光への変換効率が高く、ランニングコストを抑えやすい点もメリットです。CO2レーザーに比べてミラーやガス系統のメンテナンス負担が少ないため、生産設備としての稼働率向上にもつながります。


■ファイバーレーザー加工のメリット


ファイバーレーザー加工の代表的なメリットは、加工スピードの速さです。特に薄板から中厚板の切断では、従来工法に比べて高い生産性を発揮します。量産部品では加工時間の短縮がコスト削減に直結するため、大きな強みになります。


次に、高精度な加工が可能な点です。細かな穴、複雑な輪郭、微細なスリット、曲線形状などもCAD/CAMデータに基づいて加工できるため、設計自由度が高まります。金型を必要としないため、試作や設計変更にも柔軟に対応できます。


また、切断面が比較的きれいで、後工程を削減しやすい点も重要です。条件が適切であれば、バリや熱影響を抑えた加工が可能で、曲げ、溶接、組立などの後工程にスムーズにつなげられます。


さらに、多品種少量生産に強いこともメリットです。プレス加工のように専用金型を作る必要がないため、少量ロット、短納期、図面変更の多い案件にも対応しやすくなります。製造業における短納期化・小ロット化の流れに適した加工技術です。


■対応できる主な材料


ファイバーレーザー加工は、金属材料との相性が良い加工方法です。代表的な対応材料には、鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮、チタンなどがあります。


鉄系材料では、SS400、SPCC、SECC、S45Cなどの切断に使用されます。一般的な機械部品、ブラケット、架台部品、カバー、プレートなどに多く用いられます。


ステンレスでは、SUS304、SUS316、SUS430などが対象になります。食品機械、医療機器、装置カバー、配管部品、建築金物など、耐食性や外観が求められる部品で活用されます。


アルミは熱伝導率が高く反射率も高いため、加工条件の設定が重要です。しかし、ファイバーレーザーはアルミ加工にも対応しやすく、軽量化部品、筐体、装置部品などで使用されています。


銅や真鍮は反射率が高く、従来はレーザー加工が難しい材料とされてきましたが、ファイバーレーザーの普及により対応範囲が広がっています。ただし、材質や板厚、設備仕様によって加工可否が変わるため、事前確認が必要です。


■ファイバーレーザー加工が使われる分野


ファイバーレーザー加工は、板金加工を中心に幅広い分野で使われています。代表的な用途は、機械カバー、制御盤、筐体、ブラケット、ベースプレート、スペーサー、装置部品などです。


自動車関連では、試作部品、治具部品、補強部材、軽量化部品などに活用されます。短納期で形状変更が多い開発段階では、金型レスで加工できるファイバーレーザーの利点が大きくなります。


産業機械分野では、設備フレーム部品、搬送装置部品、ロボット周辺部品、安全カバー、取付プレートなどに使用されます。精度とスピードの両立が求められる現場で有効です。


建築・インテリア分野では、装飾パネル、看板、金物、手すり部品、意匠部材などにも利用されます。複雑なデザイン形状や抜き文字加工にも対応できるため、意匠性の高い製品にも適しています。


■CO2レーザー加工との違い


ファイバーレーザー加工とCO2レーザー加工の違いは、レーザーの発振方式と波長にあります。CO2レーザーは炭酸ガスを媒質としてレーザーを発生させるのに対し、ファイバーレーザーは光ファイバーを利用してレーザーを増幅します。


ファイバーレーザーは金属への吸収率が高く、特に薄板金属の高速切断に優れています。また、ミラーなどの光学部品が少なく、メンテナンス性にも優れます。電力効率が高いため、省エネルギー化にも有利です。


一方、CO2レーザーは樹脂、木材、アクリル、紙など非金属材料の加工で使われることが多く、用途によっては現在でも有効な加工方法です。金属加工の生産性を重視する場合はファイバーレーザー、非金属加工を含む幅広い材料対応を重視する場合はCO2レーザーというように、目的に応じた使い分けが重要です。


■加工精度と品質のポイント


ファイバーレーザー加工の品質は、加工条件によって大きく変わります。主な管理項目は、レーザー出力、焦点位置、加工速度、アシストガス圧、ノズル高さ、材料表面状態などです。


加工速度が速すぎると切断不良やドロスが発生しやすくなり、遅すぎると熱影響や切断面の荒れにつながる場合があります。焦点位置が適切でない場合も、切断幅や面品質が安定しません。


また、材料の反り、表面の傷、油分、酸化皮膜なども加工品質に影響します。特に薄板では熱による歪みが発生しやすいため、加工順序や固定方法も重要です。


高品質なファイバーレーザー加工を行うには、単に高出力の設備を使うだけでなく、材料特性や板厚に応じた条件設定が不可欠です。経験値のある加工業者に依頼することで、寸法精度、切断面品質、納期の安定性を高めることができます。


■ファイバーレーザー加工の注意点


ファイバーレーザー加工は非常に優れた加工方法ですが、すべての条件に万能というわけではありません。まず、厚板加工では設備出力や材質によって限界があります。板厚が増えるほど切断速度は低下し、切断面品質の管理も難しくなります。


また、反射率の高い材料では注意が必要です。銅、真鍮、アルミなどはレーザー光を反射しやすく、設備仕様や安全対策によっては加工条件が限定されることがあります。


さらに、熱を利用する加工である以上、熱影響を完全になくすことはできません。微細形状、細長い部品、薄板部品では、反りや歪みが発生する可能性があります。寸法公差が厳しい部品では、レーザー加工後に曲げ、切削、研磨などの追加工程を組み合わせることも検討されます。


図面上で重要になるのは、最小穴径、最小スリット幅、角部形状、板厚との関係です。板厚に対して小さすぎる穴や細すぎる形状は、加工不良や品質ばらつきの原因になるため、設計段階で加工性を考慮することが重要です。


■ファイバーレーザー加工と後工程


ファイバーレーザー加工は、単独で完結する場合もありますが、多くの製品では後工程と組み合わせて使用されます。代表的な後工程には、曲げ加工、溶接、タップ加工、バリ取り、面取り、表面処理、塗装、メッキなどがあります。


レーザーで切断した後にベンダーで曲げ加工を行えば、筐体やカバー、ブラケットなどを効率よく製作できます。溶接工程と組み合わせることで、フレームや構造部品の製作にも対応できます。


また、ネジ穴が必要な場合は、レーザーで下穴を加工した後にタップ加工を行います。外観品質を重視する部品では、バリ取りやヘアライン仕上げ、研磨、塗装などを追加することで、製品品質を高められます。


このように、ファイバーレーザー加工は板金加工全体の入口となる重要工程です。後工程まで見据えた設計と加工手配を行うことで、品質・コスト・納期のバランスを取りやすくなります。


■ファイバーレーザー加工の依頼時に確認すべきこと


ファイバーレーザー加工を依頼する際は、材質、板厚、数量、寸法公差、表面処理の有無、納期を明確にすることが重要です。図面データがある場合は、PDF図面に加えてDXF、DWG、STEPなどのデータを用意すると、見積もりや加工準備がスムーズになります。


特に確認すべき点は、切断のみでよいのか、曲げ・溶接・仕上げまで必要なのかという範囲です。加工範囲が明確でないと、見積もり金額や納期に差が出る場合があります。


また、外観部品か機能部品かによっても、必要な品質基準は変わります。外観部品では傷や焼け、切断面の美観が重視され、機能部品では寸法精度や穴位置精度が重視されます。


量産前の試作では、1個だけの加工だけでなく、後工程で問題が出ないかを確認することも大切です。曲げ加工時の干渉、溶接歪み、塗装膜厚、組付け精度などを事前に考慮することで、量産時のトラブルを減らせます。


■まとめ


ファイバーレーザー加工は、高速・高精度・高効率を実現できる金属加工技術です。非接触加工のため工具摩耗がなく、複雑な形状や多品種少量生産にも対応しやすい点が大きな魅力です。


鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮など幅広い金属材料に対応でき、板金部品、機械部品、筐体、ブラケット、装置部品など、さまざまな製品づくりに活用されています。


一方で、板厚、材質、熱影響、反射率、後工程との関係を考慮しないと、品質やコストに影響が出る場合があります。そのため、ファイバーレーザー加工を有効に活用するには、設計段階から加工性を意識し、信頼できる加工業者と連携することが重要です。


短納期・高精度・小ロット対応が求められる現代のものづくりにおいて、ファイバーレーザー加工は非常に有効な選択肢です。適切な材料選定と加工条件の最適化により、製品品質の向上と製造コストの削減を同時に実現できます。

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