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Datum

データム

データムとは、部品の形状・位置・姿勢を測定したり、幾何公差を評価したりする際の基準となる面・軸・点のことです。


機械図面では、A、B、Cなどの記号で基準を指定することが多く、「この面を基準にして直角度を見る」「この穴を基準にして位置度を見る」といった形で使用されます。


部品には多くの面や穴がありますが、どこを基準にして加工・測定・組立するかが曖昧だと、加工者と検査者で判断がずれます。データムは、その基準を明確にするための重要な図面指示です。



■データムの基本情報

項目

内容

分類

図面指示・測定基準・幾何公差

英語表記

Datum / Datum Reference

主な役割

加工・測定・組立の基準を明確にする

主な対象

面、穴、軸、中心線、点

図面表記

A、B、Cなどのデータム記号

関連用語

幾何公差、位置度、直角度、平行度、同軸度

注意点

機能基準・加工基準・測定基準を一致させること


■データムの役割


データムの役割は、部品の基準を明確にし、測定や組立のばらつきを減らすことです。


例えば、プレート部品に複数の穴がある場合、どの面を基準に穴位置を測るかによって測定結果が変わることがあります。基準が決まっていないと、「加工上は合っているが、組立時に合わない」という問題が発生します。


◆データムを設定することで、加工者、検査者、組立者が同じ基準で部品を扱えるようになります。



■データムの主な種類

種類

内容

データム平面

取付面や基準面など、平面を基準にする

データム軸

穴や円筒の中心軸を基準にする

データム点

特定の点を基準にする

データム中心面

溝や幅の中心面を基準にする

複合データム

複数の面・穴・軸を組み合わせて基準にする


■データム平面とは


データム平面とは、部品の面を基準として設定するデータムです。


最も一般的なデータムで、取付面、底面、基準面、密着面などに設定されます。例えば、部品の底面をデータムAとし、その面に対して上面の平行度や穴軸の直角度を指定します。


実際の組立では、相手部品に接触する面が基準になることが多いため、

◆機能上重要な取付面をデータムに設定するのが基本です。



■データム軸とは


データム軸とは、穴や円筒形状の中心軸を基準にするデータムです。


シャフト、ピン、ボス、軸受穴、位置決め穴などで使われます。例えば、中心穴をデータムAとし、外径の同軸度や別の穴の位置度を評価する場合があります。


回転部品では、実際に回転する軸が機能基準になるため、データム軸の設定が非常に重要です。


◆軸基準がずれると、振れ、偏心、異音、摩耗の原因になります。



■データムと幾何公差の関係


データムは、幾何公差を評価するための基準です。


平面度や真円度のように、データムを必要としない幾何公差もあります。一方、直角度、平行度、位置度、同軸度、円周振れなどは、何を基準に評価するかが必要になります。


例えば、「直角度0.05|A」と指定されていれば、データムAを基準にして、対象面や穴軸がどれだけ直角かを評価します。


◆データムがないと、評価基準が不明確になります。



■データムの優先順位


図面では、データムをA、B、Cのように複数指定することがあります。

一般的には、Aが第一データム、Bが第二データム、Cが第三データムです。第一データムは最も重要な基準で、部品を最初に安定させる面や軸になります。第二、第三データムは、回転方向や横方向の位置を決めるために使われます。

優先順位

役割

第一データム A

部品の主基準。姿勢や高さ方向を安定させる

第二データム B

回転や横方向の位置を拘束する

第三データム C

残りの自由度を拘束し、位置を確定する


■データムのメリット

メリット

内容

基準が明確になる

加工・検査・組立で同じ基準を使いやすい

組立不良を防ぎやすい

相手部品との位置関係を管理できる

測定結果が安定する

測定者による基準の違いを減らせる

図面意図が伝わりやすい

重要な面・穴・軸を明確にできる

品質保証に役立つ

幾何公差の評価基準を統一できる


■データムのデメリット・注意点


データムの設定が不適切だと、加工や検査が難しくなります。


  • 実際には組立で使わない面をデータムにすると、図面上は合格でも組立時に位置が合わないことがある


  • 加工しにくい面や測定しにくい形状をデータムにすると、検査コストや加工コストが上がります。


データムは単に図面上で指定すればよいものではなく、

◆部品が実際にどのように取り付くか、どの面で機能するかを考えて設定する必要があります。



■データムと加工基準の違い

項目

データム

加工基準

主な目的

測定・幾何公差評価の基準

加工時にワークを固定・位置決めする基準

使用場面

図面、検査、品質保証

機械加工、治具、段取り

理想

機能基準に近い

加工しやすく安定する基準

注意点

測定可能性が重要

クランプ性・再現性が重要


理想的には、データム、加工基準、組立基準をできるだけ一致させることが望ましいです。これにより、加工後の検査で不一致が起こりにくくなります。



■データムと測定基準の違い


データムは図面上で指定された理論的な基準です。一方、測定基準は実際に測定器や治具で部品を置く・当てる・固定する基準です。


例えば、図面で底面をデータムAに指定している場合、検査ではその底面を定盤や測定治具に接触させて測定することがあります。

ただし、実際の面には微小なうねりや反りがあります。そのため、測定ではデータムをどのように再現するかが重要になります。


三次元測定機では、複数点を測定して基準面を作ることもあります。



■データム設定で発生しやすいトラブル


データム設定で発生しやすいトラブルには、基準面の解釈違い、加工基準との不一致、測定不能、過剰公差、組立基準とのズレがあります。


例えば、図面ではA面基準で穴位置を指定しているのに、加工では反対面を基準にして加工すると、板厚ばらつきや反りの影響で穴位置がずれることがあります。


また、測定しにくい奥まった面や、鋳肌・溶接面のように不安定な面をデータムにすると、測定値がばらつきやすくなります。



■データム設定の考え方


データムを設定する際は、まず部品の機能を考えることが重要です。


どの面が相手部品に当たるのか、どの穴で位置決めするのか、どの軸で回転するのかを確認します。そして、実際の組立状態に近い基準をデータムにします。


基本的な考え方は、以下の通りです。


考え方

内容

機能基準を優先する

実際に組立や使用で重要な面・穴を基準にする

安定して置ける面を選ぶ

測定時に部品が安定する面を選ぶ

測定しやすい基準にする

検査で再現しやすい基準を選ぶ

加工基準と合わせる

可能な限り加工基準と検査基準を一致させる

過剰指定を避ける

重要箇所に絞ってデータムを設定する


■図面指示で注意すべきこと


図面では、データム記号を対象となる面、穴、軸、中心面に正しく付ける必要があります。


データムA、B、Cの優先順位を明確にし、幾何公差枠の中でどのデータムを使って評価するかを指定します。例えば、位置度であれば「位置度 φ0.1|A|B|C」のように、基準の順番が重要になります。


また、データムに設定した面は、加工・検査で重要面として扱われるため、必要に応じて面粗さ、平面度、傷の許容範囲も指定すると品質管理がしやすくなります。



■まとめ


データムとは、幾何公差や寸法測定で基準となる面・軸・点のことです。部品の加工、検査、組立における基準を明確にし、品質を安定させるために重要です。


データムを正しく設定することで、穴位置、直角度、平行度、同軸度、振れなどを同じ基準で評価でき、組立不良や測定ばらつきを防ぎやすくなります。


一方で、機能と関係の薄い面や測定しにくい面をデータムにすると、加工・検査コストが上がり、品質トラブルの原因になります。データムは、部品の機能、組立状態、加工方法、測定方法を考慮して設定することが重要です。

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