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Cylindricity

円筒度

円筒度とは、円筒形状の外径または内径が、どれだけ理想的な円筒に近いかを管理する幾何公差です。


円筒度は、単なる直径寸法だけではなく、円筒面全体の形状精度を管理します。


具体的には、真円度、真直度、テーパー、反り、うねり、ふくらみ、くびれなど、円筒面全体の形状誤差を総合的に評価します。



■円筒度の基本情報

項目

内容

分類

幾何公差・形状公差

英語表記

Cylindricity

管理対象

円筒面全体、外径、内径

主な用途

シャフト、ピン、ローラー、穴、軸受部、ブッシュ部

データム

原則として不要

関連公差

真円度、真直度、同軸度、円周振れ、全振れ

注意点

測定範囲、加工方法、保持方法、真円度との違い


■円筒度の特徴


円筒度の特徴は、円筒面全体の形状を総合的に管理できることです。


真円度が「ある断面の円の正しさ」を管理するのに対し、円筒度は「軸方向を含めた円筒全体の正しさ」を管理します。


そのため、各断面が丸いだけでなく、軸方向に曲がっていないか、途中で太くなっていないか、細くなっていないか、テーパー状になっていないかまで含めて評価します。



■円筒度が必要な理由


円筒度が必要な理由は、円筒部品の形状精度が、はめあい、回転精度、摺動性、シール性に大きく影響するためです。


例えば、シャフトの円筒度が悪いと、軸受との接触が不均一になり、摩耗、振動、異音、発熱の原因になります。

また、ブッシュやベアリングを挿入する穴の円筒度が悪いと、圧入不良、片当たり、回転不良、寿命低下につながる場合があります。


シール部では、円筒面がうねっていると、Oリングやオイルシールとの密着が不安定になり、漏れの原因になります。



■円筒度のメリット

メリット

内容

円筒面全体を管理できる

真円度、真直度、テーパー、うねりを含めて評価できる

はめあい精度を高めやすい

軸と穴、ピンとブッシュの嵌合を安定させやすい

回転精度を向上できる

軸受部やローラー部の振れ・偏摩耗を抑えやすい

摺動性を安定させる

接触面の片当たりを防ぎ、動きを滑らかにしやすい

シール性を確保しやすい

円筒面のうねりや変形を抑え、漏れ対策に有効


■円筒度のデメリット・注意点


円筒度を厳しく指定すると、加工コストと検査コストが高くなります。


通常の旋削加工だけでは、高い円筒度を安定して出すことが難しい場合があります。高精度が必要な場合は、研削加工、ホーニング、ラッピング、精密ボーリングなどが必要になることがあります。


また、円筒度は円筒面全体を評価するため、測定には専用測定機や三次元測定機が必要になる場合があります。簡易測定では判断しにくいこともあるため、重要部品では検査方法を事前に確認することが大切です。



■円筒度の主な用途

分野

主な用途

旋削部品

シャフト、ピン、カラー、ローラー、スリーブ

穴加工

ベアリング穴、ブッシュ穴、シリンダ穴、位置決め穴

回転部品

スピンドル、ローター、プーリー、ギア軸

摺動部品

ガイドピン、ガイドブシュ、摺動軸、油圧部品

シール部品

Oリング接触部、オイルシール接触部、配管接続部

金型部品

ガイドピン、ガイドブシュ、丸パンチ、丸ダイ

精密機器

測定軸、精密ローラー、位置決めピン



■円筒度と真円度の違い

項目

円筒度

真円度

管理対象

円筒面全体

円形断面

評価範囲

軸方向を含む全体

任意の断面

管理内容

丸さ、真っ直ぐさ、テーパー、うねり

円としての形の正しさ

データム

原則不要

原則不要

主な用途

シャフト全体、穴全体、ローラー全体

各断面の円形精度

真円度は「断面が丸いか」を見る公差です。円筒度は「円筒全体が正しい形か」を見る公差です。


そのため、各断面の真円度が良くても、軸方向に曲がっていたり、テーパーになっていたりすると、円筒度は悪くなります。



■円筒度と真直度の違い


真直度は、線や軸がどれだけ真っ直ぐかを管理する幾何公差です。


一方、円筒度は円筒面全体を管理します。円筒度には、軸方向の真直度的な要素も含まれますが、それだけではなく、各断面の真円度や外周面のうねりも含まれます。


項目

円筒度

真直度

管理対象

円筒面全体

線・軸・母線

評価内容

円筒としての総合形状

真っ直ぐさ

用途

軸、穴、ローラー、ブッシュ

シャフト中心線、レール、母線

管理範囲

立体的

線的



■円筒度と円周振れの違い


円筒度は、対象となる円筒面そのものの形状を評価する公差です。原則としてデータムを必要としません。


一方、円周振れは、データム軸を基準にして部品を回転させたときの振れ量を管理します。円周振れには、真円度、偏心、軸ズレなどの影響が含まれます。

項目

円筒度

円周振れ

分類

形状公差

振れ公差

基準

原則データム不要

データム軸が必要

評価内容

円筒面そのものの形状

回転時の振れ

主な用途

円筒形状の精度管理

回転部品の振れ管理

円筒形状そのものを管理したい場合は円筒度、回転時の実用的な振れを管理したい場合は円周振れや全振れを使います。



■円筒度で発生しやすい不良


円筒度に関係する不良には、テーパー、太鼓形状、くびれ、曲がり、楕円、びびり跡、研削むらがあります。


  • 旋盤加工では、工具摩耗、芯押し不良、チャック把持不良、機械剛性不足  →円筒度が悪化


  • 研削加工では、砥石の摩耗、ドレッシング不良、ワーク支持不良  → 円筒面にうねりやテーパーが出る


  • 薄肉部品ではチャックで強く締め付けた状態で加工  → チャックを外した後に弾性変形が戻り、

                             円筒度不良になることがあります。



■円筒度の測定方法


円筒度の測定には、真円度測定機、円筒形状測定機、三次元測定機、ダイヤルゲージ、Vブロック、マイクロメータなどが使われます。


高精度な測定では、複数断面の真円度を測り、軸方向の変化も含めて円筒面全体を評価します。


簡易的には、複数箇所の外径測定やダイヤルゲージによる振れ確認を行うこともあります。ただし、簡易測定では円筒度そのものを正確に評価できない場合があるため、重要部品では測定方法を明確にする必要があります。



■円筒度の注意点


円筒度では、どの範囲の円筒面を評価するのかを明確にすることが重要です。


例えば、シャフト全長に対して円筒度を指定するのか、ベアリング嵌合部だけに指定するのか、シール接触部だけに指定するのかによって、加工方法や検査方法が変わります。


また、円筒度は高精度な形状管理になるため、必要以上に厳しく指定するとコストが大きく上がります。部品の機能上、本当に必要な範囲に絞って指定することが大切です。



■図面指示で注意すべきこと


図面で円筒度を指定する場合は、対象となる円筒面を明確にします。


例えば、軸受が入る外径部、ブッシュが入る内径部、シールが接触する範囲など、機能上重要な円筒部に対して指定します。


また、円筒度はデータムを使わない形状公差ですが、実際の部品機能としては同軸度や振れも関係する場合があります。回転部品では、円筒度だけでなく、同軸度、円周振れ、全振れの指定が必要かどうかも検討します。



■まとめ


円筒度とは、円筒形状がどれだけ理想的な円筒に近いかを管理する幾何公差です。真円度、真直度、テーパー、うねり、ふくらみ、くびれなどを含めて、円筒面全体の形状を評価します。


シャフト、ピン、ローラー、ベアリング穴、ブッシュ穴、シール部、摺動部品などで重要な公差です。

円筒度が悪いと、はめあい不良、回転不良、摺動不良、偏摩耗、シール漏れにつながる場合があります。


一方で、厳しい円筒度指定は加工・検査コストが高くなるため、機能上必要な箇所に適切に指定することが重要です。

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