Burrs in Machining
バリ
バリとは、切削加工、プレス加工、穴あけ加工、レーザー加工、鋳造、樹脂成形などの加工後に、材料の端部や加工面に残る不要な突起・めくれ・ささくれ状の部分を指します。
金属加工では、ドリルで穴をあけた出口側、フライス加工の端部、旋盤加工の切り終わり、プレス打ち抜きの切断面、レーザー切断の裏面などに発生しやすい現象です。
バリは小さな突起に見えても、組付け不良、ケガ、寸法不良、外観不良、異物混入、機械トラブルの原因になるため、製造現場では重要な管理項目です。
特に精密部品、摺動部品、食品機械部品、医療機器部品、半導体装置部品では、微細なバリでも品質問題につながる場合があります。そのため、加工後のバリ取りやエッジ処理は、製品品質を安定させるために欠かせない工程です。
■バリが発生する主な原因
原因 | 内容 | 発生しやすい加工 |
工具の摩耗 | 刃先が摩耗し、材料をきれいに切れない | 切削加工、穴あけ加工 |
切削条件の不適正 | 回転数、送り、切込みが合っていない | 旋盤、フライス、マシニング |
材料の延性 | 材料が粘く、切断時に伸びやすい | アルミ、銅、ステンレス |
金型クリアランス不良 | パンチとダイの隙間が適切でない | プレス加工、打ち抜き加工 |
加工出口側の変形 | 工具が抜ける側で材料がめくれる | ドリ ル穴、タップ下穴 |
熱影響 | 溶融物や酸化物が付着する | レーザー加工、プラズマ切断 |
バリは、工具、材料、加工条件、金型状態、加工方向など、複数の要因が重なって発生します。特に工具摩耗や金型摩耗が進むと、バリが大きくなりやすく、量産品では定期的な管理が重要です。
■バリの主な種類
種類 | 特徴 | 主な発生箇所 |
切削バリ | 切削加工時に端部がめくれて残る | フライス端部、旋盤端面 |
穴あけバリ | ドリル出口側に発生しやすい | 穴の裏面、貫通穴 |
プレスバリ | 打ち抜き時の破断面側に発生 | 板金部品、プレス部品 |
レーザーバリ | 溶融金属が裏面に付着する | レーザー切断面 |
鋳造バリ | 型合わせ部や湯口周辺に発生 | 鋳物、ダイカスト品 |
樹脂バリ | 金型の隙間から樹脂がはみ出す | 射出成形品 |
バリの形状や発生場所によって、適した除去方法は異なります。たとえば、穴あけバリには面取り工具や裏バリ取り工具、量産小物にはバレル研磨、外観部品には手仕上げやブラシ加工が使われます。
■バリ による主な不具合
不具合 | 内容 | 影響 |
組付け不良 | バリが干渉して部品 が入らない | 取付不良、寸法不良 |
ケガの原因 | 鋭利なバリで作業者が手を切る | 安全性低下 |
異物混入 | バリが脱落して混入する | 食品・医療・半導体で重大不良 |
摺動不良 | バリが相手部品を傷付ける | 摩耗、焼付き、動作不良 |
外観不良 | 端部が荒れて見える | 商品価値低下 |
測定誤差 | バリが測定面に干渉する | 寸法判定ミス |
バリは「小さな加工残り」と見られがちですが、実際には品質・安全・機能に大きく影響します。特に組立品では、バリが相手部品を傷付けたり、締結面の密着を 妨げたりすることがあります。
■バリ取りの主な方法
方法 | 特徴 | 向いている用途 |
手作業バリ取り | ヤスリ、スクレーパー、カッターで除去 | 少量品、複雑形状、局部処理 |
面取り加工 | C面・R面を加工してバリを除去 | 切削部品、穴端部 |
バレル研磨 | メディアと一緒に処理して一括除去 | 小物量産部品 |
ブラシ加工 | 回転ブラシで微細バリを除去 | 板金、切削部品 |
サンドブラスト | 研磨材を吹き付けて除去・梨地化 | 外観調整、酸化膜除去 |
電解バリ取り | 電気化学的にバリを溶解除去 | 交差穴、精密部品 |
熱的バリ取り | 燃焼反応で微細バリを除去 | 複雑内部バリ、小型部品 |
バリ取り方法は、部品形状、材質、数量、要求品質、コストによって選定します。精密部品では、バリを除去しすぎて寸法やエッジ形状を崩さないことも重要です。
■バリを抑える加工上の対策
対策 | 内容 | 効果 |
工具管理 | 摩耗した工具を早めに交換する | バリの大型化を防ぐ |
切削条件の最適化 | 回転数、送り、切込みを調整する | 切れ味と面品位を安定化 |
加工順序の見直し | バリが出にくい順番で加工する | 後工程のバリ取り削減 |
支持方法の改善 | ワークを安定して固定する | 変形・めくれを抑える |
金型クリアランス管理 | パンチとダイの隙間を適正化 | プレスバリを低減 |
裏当て材の使用 | ドリル出口側のめくれを抑える | 穴あけバリを低減 |
バリは完全になくすことが難しい場合もありますが、加工条件や工具管理によって発生量を抑えることは可能です。後工程でのバリ取りに頼りすぎると、工数やコストが増えるため、加工段階での対策が重要です。
■バリと面取りの違い
項目 | バリ | 面取り |
意味 | 加工後に残る不要な突起 | 意図的に角を削る加工 |
目的 | 除去すべき不良要因 | 安全性・組付け性・外観向上 |
発生要因 | 工具摩耗、材料変形、加工条件 | 図面指示や品質要求に基づく加工 |
例 | 穴裏のめくれ、切断面の突起 | C0.5、R0.3、糸面取り |
管理方法 | バリなきこと、バリ取り指示 | 寸法や形状で指定 |
バリは意図せず発生する不要物であり、面取りは設計上または加工上の目的を持って行う処理です。図面では「バリなきこと」「糸面取り」「C0.2程度」などと指定されることがあります。
■バリ管理の注意点
バリ管理では、「どの程度まで許容するか」を明確にすることが重要です。すべてのバリを完全にゼロにするには大きなコストがかかるため、機能面・安全面・外観面で問題となる箇所を重点的に管理します。
たとえば、手が触れる外周部、摺動面、シール面、組付け穴、流路内部、食品や薬液に触れる面では、バリ残りが重大な問題になることがあります。
一方、機能に影響しない内部の微細なエッジについては、許容基準を設ける場合もあります。
また、バリ取り後の「取りすぎ」にも注意が必要です。面取りが大きくなりすぎると、寸法不良、シール不良、接触面積不足、強度低下につながることがあります。
■製造現場での活用例
分野 | バリ管理が重要な理由 |
板金加工 | 曲げ・組付け時のケガや干渉を防ぐ |
切削加工 | 寸法測定、摺動、組付け精度を安定させる |
プレス加工 | 打ち抜き部の安全性・外観を確保する |
医療機器 | 体内・衛生部品で異物や傷を防ぐ |
食品機械 | 異物混入や洗浄不良を防ぐ |
半導体装置 | 微細異物やパーティクル発生を抑える |
バリは、加工品質だけでなく、作業安全や製品信頼性にも関係します。特に高付加価値部品では、バリ管理が品質保証の重要なポイントになります。
■SEO向けまとめ
バリとは、切削加工、プレス加工、穴あけ加工、レーザー加工、鋳造、樹脂成形などの加工後に発生する不要な突起やめくれのことです。
小さなバリでも、組付け不良、ケガ、寸法不良、外観不良、異物混入、摺動不良の原因になるため、製造業では重要な品質管理項目です。
バリ対策には、工具管理、切削条件の最適化、金型クリアランス管理、加工順序の見直しが有効です。また、バリ取り方法として、手作業、面取り加工、バレル研磨、ブラシ加工、サンドブラスト、電解バリ取りなどがあります。
高品質な部品を作るには、発生を抑える加工設計と、用途に応じたバリ取り基準の明確化が重要です。
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