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Acute Angle Bending

鋭角曲げ

鋭角曲げとは、板金や金属板を90度未満の角度に曲げる加工です。一般的な直角曲げが90度前後であるのに対し、鋭角曲げでは60度、45度、30度など、より鋭い角度に曲げます。


ブラケット、カバー、筐体部品、装置部品、板金金具、補強部品などで使用され、部品の組付け角度、干渉回避、意匠形状、補強構造を作る目的で用いられます。


鋭角曲げは、通常曲げよりも材料への負荷が大きく、割れ、スプリングバック、寸法ばらつきが発生しやすいため、材質・板厚・曲げR・金型条件を考慮した設計が重要です。



■鋭角曲げの仕組み


鋭角曲げでは、プレスブレーキと専用のパンチ・ダイを使用し、板材をV溝に押し込んで曲げます。通常のV曲げと同じ原理ですが、目標角度が90度未満になるため、より深く押し込む必要があります。


加工方法には、空中曲げ、底突き曲げ、コイニングなどがあります。空中曲げは金型の中で板材を完全に押しつぶさずに角度を作る方法で、汎用性があります。


底突き曲げやコイニングは、金型形状に近い角度まで強く押し込むため、角度精度を出しやすい反面、加工荷重が大きくなります。


鋭角曲げでは、曲げた後に材料が少し戻るスプリングバックが大きな課題になります。そのため、実際には目標角度より深く曲げて、戻り量を見込んで加工します。



■鋭角曲げの目的


鋭角曲げの主な目的は、部品に鋭い角度形状を持たせることです。部品同士を特定の角度で取り付けたい場合や、限られたスペース内で部品を逃がしたい場合に使われます。


また、板金部品に折り返し形状や補強形状を作る場合にも有効です。鋭角に曲げることで、部品の剛性を高めたり、外観デザインにシャープな印象を与えたりできます。


鋭角曲げは、単なる形状加工ではなく、組立性、強度、見た目、スペース効率を高めるための曲げ加工です。



■鋭角曲げの主な用途


鋭角曲げは、取付ブラケット、機械カバー、板金フレーム、装置パネル、補強金具、筐体部品、建築金物、インテリア部品などに使われます。


例えば、斜め方向に部品を固定するブラケットや、内部部品との干渉を避けるための逃げ形状、外観デザインとして鋭角ラインを持たせるカバー部品などに採用されます。


また、折り返し加工やヘミング曲げの前工程として、いったん鋭角に曲げてからさらに押し込む場合もあります。



■鋭角曲げのメリット


鋭角曲げのメリットは、自由度の高い板金形状を作れることです。


90度曲げだけでは表現できない斜め形状や折り込み形状を作ることができます。


また、限られたスペースで部品を配置しやすくなります。装置内部で部品を避けたい場合や、取り付け角度に制約がある場合に有効です。


さらに、外観面ではシャープな印象を与えられます。機械カバーやデザイン部品では、鋭角曲げによってすっきりした形状や高い意匠性を表現できます。



■鋭角曲げに適した材料


鋭角曲げは、鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮などの板材に対応できます。ただし、材質によって加工しやすさは大きく異なります。


鉄は比較的曲げやすく、一般的な板金加工で多く使用されます。ス

テンレスは強度が高くスプリングバックが大きいため、角度補正や金型選定が重要です。

アルミは軽量で加工しやすい材料ですが、材質によっては割れやすいものがあります。


特に硬質アルミや熱処理材では、鋭角曲げ時に曲げ外側へクラックが入ることがあるため注意が必要です。



■鋭角曲げと板厚の関係


鋭角曲げでは、板厚が厚くなるほど加工難易度が高くなります。板厚が厚いほど曲げ荷重が大きくなり、曲げ外側にかかる引張応力も増えます。


板厚に対して曲げRが小さすぎると、割れや表面荒れが発生しやすくなります。特に鋭角曲げでは、材料が強く変形するため、通常の90度曲げよりも曲げRの設定が重要です。


設計時には、板厚、材質、曲げ角度、内R、曲げ方向を総合的に考え、無理のない加工条件にする必要があります。



■鋭角曲げとスプリングバック


鋭角曲げでは、スプリングバックに注意が必要です。スプリングバックとは、曲げ加工後に材料が元の形状へ戻ろうとする現象です。


特にステンレス、アルミ、高張力材では戻りが大きく、狙った角度に仕上がらない場合があります。そのため、加工時には目標角度よりも深く曲げる補正が必要になります。


角度精度が重要な部品では、試作や初品確認を行い、実際の戻り量を見ながら加工条件を調整することが大切です。



■鋭角曲げの注意点


鋭角曲げでは、割れ、反り、角度ばらつき、金型干渉に注意が必要です。曲げ角度が小さいほど、材料への負荷が大きくなり、曲げ外側にクラックが発生しやすくなります。


また、曲げ部周辺に穴や切欠きが近い場合、変形や割れが起こりやすくなります。穴位置やスリット位置は、曲げ線から十分に離して設計することが重要です。


さらに、鋭角形状では先に曲げた部分が金型や機械に干渉する場合があります。複数曲げがある部品では、曲げ順序の検討が必要です。



■図面指示で注意すべきこと


図面では、曲げ角度、内R、曲げ方向、基準面、寸法公差を明確に指定する必要があります。鋭角曲げでは、どの面を基準に角度や寸法を測るかによって、仕上がりの解釈が変わることがあります。


また、外観部品では、曲げ傷の可否、表裏方向、ヘアライン方向、保護フィルムの有無も確認が必要です。


必要に応じて断面図を入れ、「内角○度」「内R○mm」「曲げ方向」などを明記すると、加工業者との認識違いを防ぎやすくなります。



■依頼時に確認すべきこと


鋭角曲げを依頼する際は、材質、板厚、曲げ角度、内R、曲げ方向、数量、外観要求、後工程の有無を確認します。


特に、曲げ角度が小さい場合や板厚が厚い場合は、加工可否を事前に確認することが重要です。また、曲げ後に溶接、塗装、メッキ、組立がある場合は、角度ばらつきや曲げ部の厚みが影響しないか確認する必要があります。


複数曲げがある部品では、金型干渉や曲げ順序も重要になります。設計段階で加工業者に相談すると、加工不良や手戻りを防ぎやすくなります。



■まとめ


鋭角曲げは、板金を90度未満の鋭い角度に曲げる加工です。ブラケット、カバー、筐体、補強部品、装置部品などに使われ、斜め形状、逃げ形状、補強形状、意匠形状を作るために有効です。


一方で、通常の90度曲げよりも材料への負荷が大きく、割れ、スプリングバック、角度ばらつき、金型干渉に注意が必要です。


鋭角曲げを安定して行うには、材質、板厚、曲げ角度、内R、曲げ方向、穴位置、曲げ順序を適切に設計することが重要です。図面では基準面と角度を明確にし、加工性と完成品質のバランスを取ることが大切です。

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