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Filiform Corrosion

糸サビ

糸サビとは、塗装面やメッキ面、アルマイト面などの表面処理皮膜の下で、糸のように細長く広がる腐食・錆のことです。外観としては、塗膜の下に細い線状の錆が枝分かれしながら進行しているように見えるため、日本では「糸サビ」「糸状腐食」と呼ばれます。


主に、塗装された鉄鋼部品、アルミ部品、亜鉛メッキ鋼板、建築外装材、板金カバー、装置筐体、自動車部品、屋外設備部品などで問題になります。


特に、塗装の傷、端面、穴周辺、切断面、曲げ部、メッキや塗膜のピンホールなどから水分や酸素、塩分が侵入すると、皮膜の下で腐食が進行しやすくなります。


糸サビは、初期段階では外観不良に見えることが多いですが、放置すると塗膜の浮き、剥離、母材腐食、耐久性低下につながります。外装部品や屋外使用部品では、品質クレームの原因になりやすい腐食形態です。



■糸サビの主な特徴

項目

内容

外観

糸状・線状・枝分かれ状に錆が広がる

発生場所

塗膜下、メッキ下、アルマイト下、端面、傷部

主な原因

水分、酸素、塩分、塗膜傷、前処理不良

進行方向

皮膜の下を横方向に進行しやすい

主な影響

外観不良、塗膜浮き、塗装剥離、腐食進行

糸サビは、表面に露出した単純な赤錆とは異なり、塗膜や皮膜の下で進行する点が特徴です。そのため、表面だけを拭き取っても根本的な解決にはならない場合があります。



■糸サビが発生する主な原因

原因

内容

影響

塗膜の傷

傷から水分や酸素が侵入する

塗膜下で腐食が進行

前処理不良

脱脂・錆除去・化成処理が不十分

塗膜密着性が低下

ピンホール

塗膜やメッキに微細な穴がある

腐食因子が侵入

端面処理不足

切断面や穴端部の保護が弱い

端部から錆が広がる

塩分付着

海沿い・融雪剤・汗などの塩分

腐食を加速

湿度・結露

水分が長時間残る

糸状腐食が進行しやすい

異物残り

切粉、鉄粉、研磨材が残る

もらい錆・腐食起点になる

糸サビは、塗膜そのものの性能だけでなく、下地処理、端面処理、膜厚、使用環境の影響を強く受けます。特に塩分と湿気がある環境では発生しやすくなります。



■糸サビが発生しやすい部位

部位

発生しやすい理由

切断面

塗膜やメッキが薄く、母材が露出しやすい

穴周辺

加工バリや塗膜薄膜部ができやすい

曲げ部

塗膜に引張応力がかかり、割れやすい

角部・エッジ部

塗料が乗りにくく膜厚不足になりやすい

傷部

搬送・組立時の傷から水分が侵入する

溶接部周辺

スパッタ、焼け、酸化物が残りやすい

異種金属接触部

電食により腐食が進みやすい

糸サビ対策では、平面部だけでなく、端面・穴・曲げ・溶接部・エッジ部の処理品質が重要です。特に板金部品では、切断面と曲げ部が腐食の起点になりやすい箇所です。



■糸サビによる主な不具合

不具合

内容

影響

外観不良

糸状の錆が見える

商品価値・見栄えの低下

塗膜浮き

腐食生成物により塗膜が持ち上がる

膨れ・剥離につながる

塗装剥離

塗膜の密着力が低下する

防錆機能が失われる

腐食拡大

皮膜下で錆が横方向に進む

補修範囲が広がる

耐久性低下

母材の腐食が進む

部品寿命の低下

クレーム発生

納品後・使用後に発生する

信頼性低下

糸サビは、初期段階では細い線状の外観不良ですが、進行すると塗膜全体の剥離や母材腐食につながります。屋外部品や外観部品では早期対策が重要です。



■糸サビを防ぐ対策

対策

内容

効果

脱脂・洗浄の徹底

油分、塩分、切粉、鉄粉を除去する

腐食起点を減らす

錆・スケール除去

ブラストや酸洗いで下地を整える

塗膜密着性を高める

化成処理

リン酸塩処理などで塗装下地を作る

防錆性・密着性向上

適正膜厚管理

エッジや端面まで十分な膜厚を確保する

水分侵入を抑える

エッジ処理

面取り・バリ取りで塗料を乗りやすくする

端部腐食を低減

シーリング

隙間や端面を封止する

水分・塩分の侵入防止

高耐食塗装

粉体塗装、電着塗装、重防食塗装を選定

屋外耐久性を向上

梱包・保管管理

結露や塩分付着を防ぐ

保管中の錆発生を抑える

糸サビ対策では、「塗る前の下地」と「水分が入る入口を作らないこと」が重要です。塗膜が厚くても、傷や端面から水分が入ると皮膜下で腐食が進行します。



■糸サビと赤錆・白錆の違い

項目

糸サビ

赤錆

白錆

主な見え方

糸状・線状に広がる

赤茶色の錆

白い粉状・斑点状

発生位置

塗膜・皮膜の下

鉄表面

亜鉛メッキやアルミ表面

主な原因

皮膜下への水分侵入

鉄の酸化

亜鉛やアルミの腐食生成物

問題点

塗膜浮き・剥離につながる

強度・外観低下

外観不良・防錆性能低下

対策

下地処理、膜厚、端面保護

防錆処理、塗装、メッキ

クロメート、乾燥管理

糸サビは、表面に直接発生する赤錆とは異なり、塗膜や皮膜の下で進行します。そのため、表面の一部だけを補修しても、内部で腐食が広がっている場合があります。



■糸サビが発生した場合の確認ポイント

確認項目

内容

発生起点

傷、端面、穴、曲げ部、溶接部から始まっていないか

下地状態

脱脂不良、錆残り、スケール残りがないか

膜厚

平面部だけでなくエッジ部の膜厚が十分か

塗膜密着

クロスカット試験やテープ試験で確認する

使用環境

塩分、高湿度、結露、薬品の影響がないか

保管状態

梱包内結露や水濡れがなかったか

異物付着

鉄粉、切粉、研磨材、塩分が残っていないか

糸サビが発生した場合は、単に再塗装するだけでなく、発生起点を特定することが重要です。起点が残ったまま補修すると、再発する可能性があります。



■製造現場での活用例

分野

管理ポイント

板金加工

切断面・曲げ部・穴周辺の塗膜不足対策

製缶加工

溶接部のスパッタ・焼け・錆除去

塗装工程

脱脂、ブラスト、化成処理、膜厚管理

アルミ部品

アルマイト下地や端面腐食の管理

自動車部品

塩害環境での皮膜下腐食対策

屋外設備

雨水・結露・紫外線・塩分対策

建築金物

切断端面や加工傷の防食処理

糸サビは、製品が使用環境に置かれてから発生することが多いため、製造段階での前処理・端面処理・塗膜管理が重要です。



■SEO向けまとめ


糸サビとは、塗装面やメッキ面、アルマイト面などの皮膜下で、糸のように細長く進行する腐食のことです。

英語ではFiliform Corrosionと呼ばれ、塗膜の傷、端面、穴周辺、ピンホール、前処理不良、塩分、湿気などを起点に発生します。


糸サビが進行すると、外観不良、塗膜浮き、塗装剥離、母材腐食、耐久性低下につながります。


対策としては、脱脂・洗浄、錆除去、化成処理、適正膜厚管理、エッジ処理、端面保護、シーリング、高耐食塗装が有効です。


屋外部品や板金部品では、平面部だけでなく端面・穴・曲げ部まで含めた防錆設計が重要です。

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