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Air Bending

自由曲げ

自由曲げとは、板金をパンチとダイで曲げる際に、材料を金型の底まで完全に押し込まず、パンチの押し込み量によって曲げ角度を調整する加工方法です。


英語では「Air Bending」と呼ばれ、板材がダイの両肩とパンチ先端の3点で支持されながら曲がるため、「空中曲げ」と呼ばれることもあります。


プレスブレーキによる板金曲げ加工で広く使われており、ブラケット、カバー、筐体、パネル、取付金具、機械部品など、さまざまな板金部品に対応できます。



■自由曲げの仕組み


自由曲げでは、V字形のダイの上に板材を置き、上からパンチを押し込んで曲げます。このとき、材料はダイの底に密着せず、パンチの下降量によって曲げ角度が決まります。


同じパンチとダイを使っても、押し込み量を変えることで、90度、鋭角、鈍角など複数の角度に対応できます。そのため、金型交換を少なくしながら多様な曲げ角度を加工できる点が大きな特徴です。


一方で、材料の板厚、材質、スプリングバック、金型幅などによって仕上がり角度が変わるため、加工条件の調整が重要になります。



■自由曲げの目的


自由曲げの目的は、少ない金型でさまざまな角度の曲げ加工に対応することです。


専用金型を使わずに汎用金型で加工できるため、多品種少量生産や試作部品に向いています。曲げ角度の変更にも比較的柔軟に対応でき、設計変更が多い部品でも加工しやすい方法です。


また、加工荷重が比較的小さく済むため、設備への負担を抑えながら曲げ加工を行える場合があります。



■自由曲げのメリット


自由曲げのメリットは、汎用性が高いことです。1組の金型で複数の角度に対応できるため、段取り替えを減らしやすく、短納期加工に適しています。


また、底突き曲げやコイニングに比べて必要な加圧力が小さいため、板厚や材質によっては設備負荷を抑えられます。


さらに、試作や小ロット品では、専用金型を作らずに加工できるため、初期費用を抑えやすい点もメリットです。



■自由曲げのデメリット


自由曲げのデメリットは、角度精度が材料特性に影響されやすいことです。


材料は曲げた後に少し戻ろうとする性質があり、これをスプリングバックと呼びます。自由曲げでは、材料が金型に完全に拘束されないため、スプリングバックの影響を受けやすくなります。


特にステンレス、アルミ、高張力鋼などでは戻り量が大きく、狙った角度に仕上げるには補正や試し曲げが必要になる場合があります。



■自由曲げと底突き曲げの違い


自由曲げは、材料をダイの底まで押し込まず、パンチの押し込み量で角度を調整する方法です。


一方、底突き曲げは、材料をダイの底付近まで押し込み、金型形状に近い角度で曲げる方法です。

底突き曲げは自由曲げより角度が安定しやすい反面、対応できる角度が金型に依存しやすく、加工荷重も大きくなります。


多様な角度や小ロットに対応したい場合は自由曲げ、角度精度を重視する場合は底突き曲げが選ばれることがあります。



■自由曲げとコイニングの違い


コイニングは、材料を強い力で金型に押し込み、曲げ部を塑性変形させて角度を安定させる加工です。自由曲げに比べて角度精度を出しやすい一方、非常に大きな加工荷重が必要です。


自由曲げは、コイニングほど強く押し込まないため、加工荷重が小さく、金型への負担も抑えやすい方法です。


ただし、スプリングバックの影響を受けやすく、角度補正が必要になる場合があります。


つまり、

◆汎用性と加工性を重視する場合は自由曲げ、高精度な角度安定性を重視する場合はコイニングが適しています。



■自由曲げに適した材料


自由曲げは、鉄、ステンレス、アルミ、銅、真鍮などの板材に対応できます。


鉄は比較的曲げやすく、一般的な板金加工で多く使われます。

ステンレスは強度が高くスプリングバックが大きいため、角度補正が重要です。

アルミは軽量で加工しやすい一方、材質によっては割れやすく、曲げRや曲げ方向に注意が必要です。


材料ごとの伸び、硬さ、板厚、圧延方向を考慮して、無理のない曲げ条件を設定することが大切です。



■自由曲げと板厚の関係


自由曲げでは、板厚に応じて適切なダイ幅を選ぶ必要があります。一般的に、板厚が厚くなるほど広いV溝のダイが必要になります。


ダイ幅が狭すぎると、曲げ荷重が大きくなり、割れや金型負荷の原因になります。反対に、ダイ幅が広すぎると、曲げRが大きくなり、寸法精度や形状に影響する場合があります。


◆自由曲げでは、板厚、材質、曲げ角度、内R、製品寸法を考慮して、適切な金型条件を選定することが重要です。



■自由曲げの注意点


自由曲げでは、スプリングバック、角度ばらつき、寸法誤差、曲げRの変化に注意が必要です。


特に、材質やロットによって材料特性が微妙に異なると、同じ条件で曲げても角度が変わることがあります。高精度な曲げが必要な場合は、初品確認や角度補正を行うことが重要です。


また、曲げ線の近くに穴や切欠きがあると、変形や割れが発生しやすくなります。


◆穴位置やスリット位置は、曲げ線から十分に離して設計する必要があります。



■図面指示で注意すべきこと


図面では、曲げ角度、内R、曲げ方向、基準面、寸法公差を明確に指定することが重要です。


自由曲げでは、曲げ角度や内Rが金型条件によって変わる場合があります。そのため、厳密に管理したい寸法や角度がある場合は、重要管理部位として明記しておくと安心です。


外観部品では、曲げ傷の可否、表裏方向、ヘアライン方向、保護フィルムの有無も確認しておく必要があります。



■依頼時に確認すべきこと


自由曲げを依頼する際は、材質、板厚、曲げ角度、内R、数量、寸法公差、外観要求、後工程の有無を確認します。


特に、ステンレスやアルミのようにスプリングバックが大きい材料では、角度精度の要求を事前に共有することが重要です。


また、曲げ後に溶接、塗装、メッキ、組立がある場合は、曲げ角度や寸法ばらつきが後工程に影響しないかを確認する必要があります。



■まとめ


自由曲げは、板材を金型の底まで押し込まず、パンチの押し込み量で曲げ角度を調整する板金曲げ加工です。1組の金型で複数の角度に対応できるため、多品種少量生産や試作加工に適しています。


一方で、材料が金型に完全に拘束されないため、スプリングバックや角度ばらつきが発生しやすい点に注意が必要です。


自由曲げを安定して行うには、材質、板厚、ダイ幅、内R、曲げ角度、曲げ方向を適切に設定することが重要です。汎用性とコストのバランスに優れた、板金加工で非常に基本的かつ重要な曲げ方法です。

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